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【感想】小説「殺戮にいたる病」の犯人に対して言いたいこと|ネタバレあり

ブックレビュー読書感想文
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このページに書いてあること

小説「殺戮にいたる病」を読んだ読書感想文と、犯人への怒りを思いっきり書いています。

我孫子武丸さんの書いたミステリー小説「殺戮にいたる病」

こんなに「読むことがしんどい」と思う作品は初めてかもしれません。

ちなみに犯人に対してめちゃくちゃブチギレてます。

被害者の遺族の一員になったつもりで書きます。荒い言葉を読みたくない人は「戻る」でお願いします。

「殺戮にいたる病」を読んで同じく犯人が許せなかった方、ぜひ一緒にキレてください。

小説「殺戮にいたる病」レビュー感想

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

もうコイツなんなんだ。本当いい加減にしろ。いや、なんなんだお前は。

まず先に言っておきますが「この犯人は病気だからしょうがない」みたいな考え方もあるかもしれません。

タイトルにも「病」と入っていますしね。確かに精神的な病気だというのはわかります。

あくまで自分の感覚ですが、明らかに狂ってる。

しかし思い出してください。結局こいつは自分で選んでるんですよね。相手を。「この女は美しい、俺が愛してやる」的な。

何言ってるんだこのバカ。

仮に目の前にランダムで人間が「ポンっ」と登場し、そこで有無を言わさず手を下す、とかなら『あーコイツは自分をコントロールできない病気だ』って思えたりもします。

いや、殺すことは間違っているので1000歩くらい譲ってですけど。

でもコイツは選んでます。自分の好みで。

じゃあなんですか、「自分の好きな相手を選んで自分の好きなことをするけど病気だからしょうがないか」ってか。いい加減にしろ。



完璧に「モノ」として見ている。女性を。というかコイツは自分以外を何も見ていない。

「見えない」んじゃない。「見ていない」。

コイツは人と一緒に生活するという意識がない。社会で生きているということがわかってない。多分自分以外全員「モノ」だと思ってます。

だから最後に捕まった時もわかってない。誰が怒ってるとか誰を悲しませたとか。コイツには「誰(他人)」がない。

この「他人」に関して、元警部の樋口さんも言っています。

樋口はそんなことを考えもしなかった自分に腹を立てた。やはり俺は、他人のことを考えるような人間ではない。彼女がどんな思いをするかなど、考えてみようとも思わなかった。いつでも自分のことだけ。自分のことを考えるのに精一杯なのだ。
小説「殺戮にいたる病」より引用

樋口さんは「自分は他人を考えるような人間ではない」と自分を卑下しますが、違う。

むしろそういった考えに行き着くことが「他人を考えようとしている」こと。樋口さんは「見よう」としている。

これが自然ですよ、人間として。そりゃ誰だって自分が正しいと思っているし、自分が一番大切ですから。

稔に欠落しているのはここですよね。多分「正しい」とか「間違ってる」とかすらない。自分だけ。本物の自己中。

その自己中さは本の中のこんな一言を見てもわかります。殺した女性との行為を撮影したビデオを見ての一言。

何故俺だけがこんな目にあわなければいけないのだろう。
小説「殺戮にいたる病」より引用

あのさぁ。それ被害者のセリフね。何を言ってるの?もう疲れるわ。

で、ここまで自己中なやつ。根本的な疑問も出てくるんです。

どうやって生活してきた?どうやって大学教授になった?どうやって結婚した?

こうなってくると、やはり考えてしまうのが「誰が悪いのか?」ということ。

原因を探しても何も返ってこないですし、コイツが悪いのはわかっています。しかし根本的なところはどこなのか?

そうなるとやっぱり育てた親なのか?

でも小さい頃から「母親を女性として見ている」というのがあるので、そうなるともう生まれつきなのか?

これに関しては何も言えないですし、簡単に話せる内容でもないと思うので何も言いません。

まあ被害者からしたら知ったことじゃないけどね。



いやーそれにしてもエグかった。描写がエグいのはまあやってることがエグいので当たり前ですが、人間の行動や考え方もエグい。

この稔の妻である雅子の考え方や行動もある意味エグいです。

息子の部屋に入ってゴミ漁ってオナニーしている数を数え、「最近はちょっと頻度少ないわね」とか。

恥ずかしいから止めてあげてください。

そして息子が人殺しだと信じ、確信した後に言ったセリフ。

要は病気が治り、これ以上あの子が人を殺しさえしなければ、何も問題はないはずだ。
小説「殺戮にいたる病」より引用

いや、どういう理屈?そんな便利なリセットボタンはないのよ、人生に。

ただこれには母親としての愛がありますからね。口が出しにくいところでもあります…

まあ自分がここまでキレているのは最後の最後まで「稔=イケメンの大学生」だと思っていたから、という嫉妬的なものもあります。

調子乗るなクソガキ。女性を好き勝手に扱うな、バカ。イケメンだから誘えばみんな来ると思ってるのか?酒を飲ませて連れて行くなんて卑怯だろ。何が「お一人ですか?」だ。

しかし最後の最後に稔は大学生ではなく父親、つまり「稔=40代のおっさん」だとわかります。

イケメンの大学生じゃないからそこまで怒らなくてもいいか…なんてもちろん言いません。

結婚して子供もいるくせに何やってんだ、バカ。というか学食で生徒と普通にご飯を食うな。教授用の個室で出前を取れ。何が「お一人ですか?」だ。

こう言った事件がなくなることを切に願います。




「殺戮にいたる病」は文庫本&電子書籍で

我孫子武丸さんの「殺戮にいたる病」は文庫本の他に電子書籍でも読むことができます。

他にもおすすめ小説の紹介や、感想を書いています。お時間ある方はぜひ読んでくださいね。

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