電車で一駅乗れば数千円。コンビニの弁当が数万円。日本でハイパーインフレが起きる。
「絶対にありえない」とは言えない「ありえない話」。そんな日本が舞台の『万能鑑定士Qの事件簿 II(2)』を読みました。
一冊目は「凛田莉子ズルいよ」「小笠原、いる意味ある?」という感想しかなかったですが、二冊目はスケールも面白さもマシマシでした。
ただやっぱり小笠原には言いたいことあります。
万能鑑定士Qの事件簿 IIあらすじ
『週刊角川』記者・小笠原は途方に暮れていた。わずか2日で、コンビニの弁当は数千円から数万円に、JRのひと区間は九千円以上になり、いくら金があっても足りないのだ。従来のあらゆる鑑定をクリアした偽礼が現れ、ハイパーインフレに陥ってしまった日本。だが、まだ万能鑑定士・凛田莉子の鑑定がある!パーフェクトな偽礼の謎を暴き、未曾有の危機から国家を救うことができるのか!?。
出典:AmazonBOOK 内容より
ネタバレありで感想
ハイパーインプレって聞いたことはあるけど、具体的にはよくわかりません。
そんな私と同じような人は、その辺の参考書を読むより万能鑑定士Qの事件簿の方がわかりやすいですね。
ハイパーインフレを簡単に説明すると…
【通貨の価値が減少し、お金としてほぼ機能しなくなってしまう】というような感じです。
今の日本でハイパーインフレになることは考えにくいですが、「絶対ない」とは誰も言えませんから。円安が加速して、みんなが日本円を持たなくなったら…価値がなくなりハイパーインフレになります。
この「日本のスーパーインフレ化」というのが非常に新鮮でおもしろかったです。
あらすじにもある通り、もしコンビニ弁当が数万円なんて金額になったら…そしてその弁当が某コンビニのようにご飯の底上げなんてされていたら…確実に暴動が起きるでしょうね。
リアル米騒動ですよ。
これを読んで「ドルに両替しておこうかな」と思った方は少なからずいると思います。いくら慣れ親しんだ母国の通貨とはいえ、円ばかりを信用し過ぎるのも良くないってことですね。
そして今回、凛田莉子に関してより深く知ることができたのが嬉しかったです。
沖縄に帰ったところで、「犯罪現場に向かうところで怖がる」といった表現は、より人間性が見ることができました。
また、沖縄のノンビリした感じが伝わる登場人物も良かったです。
読んでいてホッコリ。沖縄だけのストーリーとかあったら読みたいです。
なお、今作で一番おもしろかったのは「誰が真犯人だったのか」です。全く疑ってなかったので、真相がわかり始めるあたりで本から離れられなくなりました。
犯人としてはよく考えた作戦だったと思います。もし偽札じゃなかったとバレても、そのあと行動しなければよいわけで…
逃げ道を作りつつ大胆なことをやってのけたのは、犯人のレベルが高かったのを表していましたね。
ただ、もっと他に方法なかったのかと納得しずらい部分もありました。
いくら通貨の価値が暴落したとはいえ、その手元にある在庫をどうにかするというのは…結構無理があるような気がしました。
そして専門家が見たり、機械を使ったりしても「字を付け足したお札」は見破れないものなのでしょうか?
色々専門的な解説があり、それゆえに判断できなかった、との説明がありましたが、、、
しかし、うーん。お札に後から書いた文字が判明できないなんて…そんなことあります?
ちなみに今回の事件の罪はどの程度になるのでしょうか。日本は大混乱しましたが、人を傷つけてはいません。
まあ国を揺るがしたってことで罪は重いはずです。このハイパーインフレのせいで、自ら命を絶ってしまった人もいたかもしれません。
関連性を付けるのは難しいですが、それが原因ならやっぱ大罪ですからね。。
そして最後にこれだけ言わせてください。
準主人公というべき雑誌記者の「小笠原」です。
一作目では「中途半端」という感想でした。二作目ではどうだったのか。
いてもいなくてもどっちでもいい感じでした。
雑誌記者という立ち位置も今後何ができるかわかりませんし。やってることも、全て空回りと言いますか…まあ一作目よりはキャラクターの重要度は上がってきたと思いますが…とりあえずイライラしました。
次はないぞ、小笠原
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