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【ネタバレ感想】びっくり館の殺人レビュー|小説

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このページに書いてあること

綾辻行人さんの著書「びっくり館の殺人」を読んだ感想文です。

作家「綾辻行人」さんの著書【館シリーズ】。

今回は全9作品ある中の8作目の作品、びっくり館の殺人

簡単に感想を言うなれば・・・

館シリーズですがジャンルが違う、という感じでしょうか。いつもの「館シリーズ」と期待してしまうと残念に思ってしまうかもしれません。

館シリーズだけど中身はちょっと違った作品。感想や考察を書きましたので、是非最後までお付き合いください。

でらの評価
読みやすさ (3.0)
衝撃度 (3.5)
トリック (3.0)
おすすめ度 (2.5)



びっくり館の殺人 あらすじ

あやしい噂が囁かれるお屋敷町の洋館、その名もびっくり館。館に住む少年と友だちになった三知也たちは、少年の祖父が演じる異様な腹話術劇におののくが……クリスマスの夜、ついに勃発する密室の惨劇!悪夢の果てに待ち受ける戦慄の真相とは!? 
出典:講談社文庫 作品内容より

ネタバレありでレビュー感想

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

やはりこれは別物。特別編という感じですね。個人的な感覚では4作目の「人形館の館」に近いと感じました。

事件の内容など館シリーズと比べるとやはり軽めです。ドロドロした人間関係もありません。

ということで読み終わった後にいろいろな方のレビューを見てみると…なんとこちら、子ど向けの作品ということでした。

ミステリーランドというレーベルから世に出た作品で、子供をターゲットにした「館シリーズ」ということです。作品全体を通して軽めに感じたのはそのせいだったようですね。

ところどころで「バチッ!」と衝撃を受ける感じではなく、ジメジメした雰囲気が漂い続けるような…そんな感じです。

ドロドロの殺人事件ととんでもない大どんでん返しを期待した私にはちょっと物足りなかったです。

そして今回一番の衝撃ともいえる「腹話術の人形が俊生だった」という事実。これはまったく予期していなかったため、確かにびっくりです。

ただ、やはり『ちょっとズルいな』という感想は否めませんでした。

読み手である三知也の伝え方は間違ってはいません。しかし本当は俊生だった腹話術の人形を「腹話術の人形が全然別物だったのです!」で終わりにしてしまうのは、やはりズルい。。。

『実は××だったのです!』と言われてしまうと何でもできてしまう。いわゆる後出しですからね。

腹話術の人形だと思っていたのが実は俊生だった。このシーンを思い浮かべると確かに怖いです。狂気以外のなにものでもないですからね。単純にヤバい人たちです。

そういった「ヤバい」と感じる人間の怖さ。これは前作の「暗黒館の殺人」での【ダリアの宴】で感じたホラーに似ていました。

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真相を考察

最後のオチ。他の方のレビュー参考にすると、「全ては俊生によって仕組まれていた計画」という意見をよく見ました。

しかし個人的には少しだけ違います。正確には俊生ではなく「俊生に憑りついた何か」による計画だと。それはたびたび発言としても登場した「悪魔」がしっくりきます。

理由はいくつかあります。

姉の梨里香が母親に殺された理由。これが悪魔の子だったから、というものでした。【お母さんは狂っていた】という風に思われていましたが、実は本当に呪われて狂っていた梨里香を仕留めた正常な人だったのかもしれません。

また、『なぜこんなことをさせるんだ…』という龍平氏の言葉。これも自分の意志でないことを表しています。

そして俊生からのプレゼントの箱に隠された文字。それは”Help me”ではなく”Help us”でした。meは単数形。usは複数形。つまり『私たちを助けて!』ということですね。

この「私たち」には俊生と龍平氏の2人が含まれていたのだと思います。

ということはやはり、黒幕は館に潜む何かだったのでしょう。

・・・と言ってはみたものの、黒幕が「館に潜む何か」だとしたらやはりショックです。

確かに中村青司の建てた館には普通では考えないぐらい事件が起こります。しかし「館自体が事件を起こす」となるとミステリー要素が薄れます。さらに「じゃあなぜ今までの館では超常現象が起きていないのか?」ということにもなります。

そう考えると、やはり今回のは特別編と言えるでしょう。

ざっと内容紹介

永沢三知也は同級生の「あおい」と、あおいのいとこの大学生「新名努」と共に、びっくり館で死体を発見する。それは館の主人である「古屋敷龍平」であった。

部屋は完全な密室状態。そして、そこには人形「リリカ」がうつろな目をして座っていた。

古屋敷龍平の発見の4か月前。8月に三知也はびっくり館と呼ばれる怪しい屋敷にて「古屋敷俊生」と出会う。

俊生は病弱ため満足に学校に行けず、三知也と同じ歳だが学年は一つ下だった。俊生はすでに母と姉を亡くしており、祖父と2人暮らしだった。

三知也も兄弟が亡くなってしまった過去があった。共通点があったためか仲良くなる2人。そこで三知也は俊生の祖父である「龍平」に出会う。

三知也の兄はいじめを苦にしての自殺。両親は離婚し、三知也は父親と暮らすことになっていた。

三知也は俊生の家庭教師である新名さんと出会い、彼のいとこでもある同級生の「あおい」とも仲良くなる。

龍平氏は三知也とあおいに「リリカ」を紹介する。リリカとは腹話術用の人形。龍平氏は三知也たちに腹話術を見せるも、途中で発作を起こし中断してしまう。

その後、三知也は島田潔に出会う。そして彼から「びっくり館はいわくつきだ」ということを聞かされる。

ある夜に、三知也は俊生から誕生日プレゼントをもらう。それは仕掛けを解くと開けることができる【秘密箱】だった。

俊生の誕生日会が行われることになり、三知也とあおいと新名さんの3人は招待される。誕生日会で龍平氏は腹話術を披露するが、その内容に3人は驚愕してしまう。

腹話術の内容から【俊生は龍平氏から虐待を受けているのではないか?】と考えた3人。すると今度はクリスマスパーティに誘われる。

パ―ティ前日、以前俊生から貰っていた秘密箱をようやく開けることができた三知也。箱の中には【Help us】と書かれた紙が入っていた。

クリスマスパーティの当日。三知也とあおいと新名さんの3人は龍平氏の遺体を発見する。現場の状況と3人の証言から、これは物盗りによる犯行と断定された。

しかし真相は違うものだった。密室と思われていたが、この時部屋にはリリカの服を着た俊生がいたのだった。

3人が誕生日会で見た龍平氏による腹話術で驚愕した理由。それは、そのとき使用されたのは人形ではなく、リリカの服を着た俊生だったから。異様すぎるその姿に、3人は「俊生は虐待されている」と思うようになる。

【龍平氏を殺したのは俊生だ】と思った3人は、彼をかばい偽装工作をして物取りの犯行に仕立て上げた。

その後、長い年月を経て再度びっくり館を訪れた三知也。

そこには俊生とあおいがいた。彼らは「梨里香の誕生日を祝おう」と言い、三知也を館に誘う。

そのときの俊生の目。彼の目はこの世のものとは思えない色をしていた。




「びっくり館の殺人」は電子書籍でも読めます

綾辻行人さんの小説「びっくり館の殺人」は、紙の書籍のほか、各種電子書籍でも読めます。

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他にも「館シリーズ」の感想や、おすすめ小説をまとめた記事もあります。

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