脳がバグりました。
【叙述トリックの傑作】として名高い『ハサミ男』ですが、全然意味が分かりませんでした。
ハマる人にがかっつりハマり、ハマらない人には何も刺さらない、といった評価が多いようです。
自分の場合「ハマる」とか「ハマらない」とかではなく「わからない」。
読んでいるときに頭に「?マーク」が飛び出し、結局終わるまで「?マーク」が出っぱなし。ずっと声出てました。
『えっ?』
『はっ?』
『お前、誰だよ』
ということで過去最大級の「わからない」をぶつけてきた『ハサミ男』に、いろいろ言わせてもらおうと思います。
『ハサミ男』感想
今までの人生で脳がバグった経験といえば、
『表参道でオジサンがセーラー服着て歩いているのを見た』
『家にいるはずの彼女が違う男と歩いていた』
ぐらいしかなく、この時は頭の中のセーブデータが消えるぐらい脳がバグったんですが・・・
この『ハサミ男』も同じぐらいバグらせてきました。
まず「叙述トリック」に関して。
全然気づきませんでした。100%騙されました。
まあ【叙述トリックの傑作】なんて、騙されるために読んでいるようなものですからね。ちゃんと騙される自分の知能に感謝しました。
ていうかみんな【ハサミ男=デブで髪が薄くなった独身のフリーター】って思ってましたよね?
脳がバグったとかどうでもいいんですよ。オジサンがセーラー服とかどうでもいいんですよ。
これはホントにビビりました。
フリーター目線の話を呼んでいると思いきや、ある夜いきなりそのフリーターが家に来ます。そしてフリーターだと思っていた人間に対し女性の名を呼びます。
これで脳がバグらない人いるんですか?
仮にこれが全然違う第三者で、デブのフリーターに向かって女性の名前を呼んだとしたら・・・
『デブのフリーターって男じゃなくて女だったのか!?』というどんでん返しが発生していたと思います。
【デブで髪が薄くなった独身の女性フリーター】
まあそれはそれでビビるんですけど。
他の人の評価
インターネットで他の方のレビューや感想を拝見すると・・・
一定の割合で「つまらなかった」「ハサミ男=女性と分かっていた」という感想を発見しました。
その理由が・・・
「殺された女性に着衣の乱れがなかったこと(つまり性的暴行されていない)」
「ハサミ男の一人称が(わたし)でタイトルがわざわざ【ハサミ男】だったから」
・・・いやいやいや、きづかないですよ。
みんなコナンか何かですか?腕時計に麻酔銃とかついてないですか?
まあ確かにそう言われて読み返すと、細かいところに色々女性ととれる内容が記載されていました。
例えばトイレのシーン。
トイレで用を足したあと、立ち上がったわたしは、洋式便器をのぞきこんで仰天した。便器が真っ赤に染まっていたからだ。
出典:殊能将之「ハサミ男」より
トイレから立ち上がった時に尿が真っ赤だったと気づいた。これは女性と断定するヒントですね。
ただ最近では座って用を足す男性もいますしね。
また殺された女子生徒と関係があった体育教師と話す際、その体育教師はこのようにいいます。
「あんた、ひどく生意気な口のきき方するな」
出典:殊能将之「ハサミ男」より
これもやはり女性と断定するヒントですね。
相手が男性だった場合は『あんた』とは言わず『お前』が自然だと思います。
ただなぁ、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドは『あんた、あの子のなんあのさ』っていうしなぁ。
ちょっとした不満
この小説でもう1つのトリックが「医師」というもう一つの人格の登場。
この人格がまあよくしゃべるので、少しキレそうになりましたが・・・
その医師が自分のことを
【自分が本当の意識で、ハサミ男のほう(サイコパスな人格)が妄想から作り出されたのもの】
といいます。
そして最後の入院しているシーンで医師そっくりな男性が入ってきて、それが父親だったというオチ。
で、この医師の言うことが正しいとするならば・・・
ハサミ男である「安永知夏」は自分を男性だと思っていた、ということでしょうか?
そしてその医師の見た目が父親と同じで、なぜか父親のほうが若く見える、というのはどうゆうことなのでしょうか?
うーん。わからないです。
さらに言えば、ハサミ男の犯罪の理由は結局何だったのでしょうか?
女子高生ばかりを狙うということは、男子高校生ではだめだったわけで、熟女もおっさんでもなく女子高校生でした。
なによりハサミを突き立てた理由は何だったのでしょうか?ナイフではなくハサミだった理由は?
何かしら意味ありげな女子高生&ハサミという彼女の中の決まりがあったにも関わらず、その理由に関しては語られず…しいて言えば「サイコパスでした」ということだけ。
見落としてたか、自分が理解できていなかったか。どっちにしても納得はいかないですね。
まあ一番納得いかないのは『家帰ってきたよー』ってメールしてきた後、夜の繁華街を男と歩いていた元カノですけどね。
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