このページに書いてあること
朝井リョウさんの短編集「世にも奇妙な君物語」を読んだ読書感想文です。
現代の闇に照準を合わせたような不思議な短編集。さらに短編集の特徴をうまく活かした作りで盛り上がりました。
ただ、ラストの短編を読んで思わずため息が出ちゃいました。
短編集「世にも奇妙な君物語」感想レビュー
いきなりですが本が好きな人に聞きたいんですけど、短編集てちょっと微妙だなって思いませんか?
短編集って「良いところで終わるのを良しとする」みたいなところがあって苦手なんです。
文量的に全部は書けないから「あとは読者の想像にお任せします…!」みたいな終わり方になるのが多い。
もうA型の俺はそんな終わり方がとても気持ち悪くて「いや、結末教えてくれよ」ってなってしまうわけです。
と言いつつ読み始めたこの短編集。全部で5話の短編があり、4話目までは「ふーん」って感じで読んでたんですね。
いや、内容は面白いけどやっぱり終わり方が「あとは読者の想像にお任せします…!」みたいな感じでモヤモヤしてて…
そして最終話。なんと今までの短編が微妙に繋がっているという展開。
これはあれじゃん。それぞれの物語が最後に集結する…ドラゴンクエスト4じゃん。。
知らない方もいると思うので補足ですが、「ドラゴンクエスト4」はテレビゲームで「何人かのキャラをそれぞれ冒険させていき、最後にみんな集まる」という、ちょっと特殊なオムニバス形式なんですね。
4話目までは「ふーん」だった俺も最終話で「あああ!」になりまして。
朝井リョウさんスゲェ。ありがとうございます!!ってお礼のファンレター書こうと思ったんですけど…
最後の短編がまったくおもしろくない。
いやこの短編集ってこの5話で構成されてるんですけど…
- 第1話「シェアハウさない」
- 第2話「リア充裁判」
- 第3話「立て!金次郎」
- 第4話「13.5文字しか集中して読めな」
- 第5話「脇役バトルロワイアル」
この中で第1話〜第4話は「あり得る話」なんですよね。
…いや「あってたまるか」って感じの怖い話なんですけど。まあ「現実ベース」のお話なんですね。
「シェアハウさない」はそういう殺人鬼もいそうだし、「リア充裁判」も妄想だった訳ですね?
「立て!金次郎」と「13.5文字しか集中して読めな」はゾクっとするけど、あり得る話。
それなのに最終話だけちょっとしたSFで「現実ベース」の話ではない。
俳優5人が集められ、バトルロワイアルで失格すると、床に穴ができて落下してしまう。
決まった場所ではなくどこでも。時空に穴が空いたみたいに。しかもSFっぽいのにオチはめちゃくちゃ弱い。
この設定だと分かった時「あああ!」だったのが「あああ…」になってしまいました。ため息です、電車の中で。
ここまできたら全て「現実で起こりうること」を基準にして話を作って欲しかったです。
現実ベースだからこそゾクっと怖い訳で、これがSFありになっちゃうと一気に作り物感が強くなるというか…
例えば・・・ありきたりなデスゲームって感じでアレですけど「ミスした瞬間に頭撃ち抜かれる」とか。
いや、それこそ「あってたまるか」って内容ですけど、まあ現実で出来ることなので。
あとはそうだな…例えば失格になった瞬間、死ぬまで料理を食わせ続けるとかね。
「世にも奇妙な君物語」は文庫本&電子書籍で
朝井リョウさんの短編集「世にも奇妙な君物語」は文庫本の他に電子書籍でも読むことができます。
他にもおすすめ小説の紹介や、感想を書いています。お時間ある方はぜひ読んでくださいね。
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