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【感想】小説「凍りのくじら」あらすじとレビュー|辻村深月

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このページに書いてあること

辻村深月さんの小説「凍りのくじら」を読んだ感想文です。

ドラえもんへのオマージュが特徴の、SF(少し不思議)な物語、凍りのくじらを読みました。

辻村深月さんの代表作の1つとも言え、Amazonのレビューでは1000人以上の評価がつき、それが星4.4という脅威的高評価となっています。

そんな「凍りのくじら」。読んだ感想を一言で言うとしたら・・・

ということで、あらすじとネタバレで感想です。




あらすじ

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。
引用:Amazon内容紹介

レビュー・感想

辻村深月さん小説「凍りのくじら」感想
これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

正直に言って、ストーリーの7割ぐらいは「不快」です。

なのでまず不快な7割の感想を書きます。

主人公の女子高生「理帆子」。

俺はこの子の気持ちや行動に対し、ほとんど共感できなかったし、『これが女の子ってもんなんだよ』って言われたら、俺は一生女の子の気持ちが理解できないですね。

とりあえず人を見下しすぎなんですよ。

他人を見下しながら、それでいて自分の居場所として使うとか。さんざん彼氏のことを見下しながらも、中途半端に関係を切らないでいるとか。倹約家の母親の金銭感覚などを非難したりとか。

「お金で解決するなら私は時間を取る」とか堂々と言っちゃうんですけど・・・君の稼いだお金じゃないんですよ、それ。

それも全て「私は本を読んでいるから」という理由で、それ以外の人間を見下すんですよ。

いや。「本を読んでいるかどうか」で判断している方が頭悪そうですけどね。そんなの実際関係ないですから。

しかもそれを測る判断材料の1つが「語彙」という・・・

理帆子が母親と喧嘩したシーンで、母親が泣きながら、『情けない、嫌になる』と理帆子に言うんですね。で、それに対して理帆子はこう表現します。

語彙の貧困さまで、まるで子供だった
辻村深月 著「凍りのくじら」 講談社文庫

・・・いや、別に普通だろ。

じゃあ感情的になってる時でも『憐れよ、忌み嫌うわ』とか言わなきゃいけないの?

どこの「叶姉妹」だよ。

で、こういうことを言うと「思春期の女の子だからイライラすんなよ」って言われそうですが・・・

私は本をたくさん読んでいるので頭がいいです。だからバカな奴は見下します。でも孤立したくはないので見下しているやつと一緒にいて居場所を作ります。自分で人を見下す酷い人間なんだと自覚してます。だからいいでしょ。

いや、これ思春期とかじゃない。ただの「性格悪いガキ」です。

そんな理帆子がいろいろな出会いや経験から成長していく姿は素敵ですが・・・それまでが延々と長く読むのに体力が入りました。

そしてそんな理帆子よりも不快なのが、元彼の若尾くん。

最初は「あー、こういうヤバいやついるよな」って程度でしたが、途中からセリフが出てくるだけでイライラさせられますからね、ある意味すごいです。

こいつは自分の話の中でちょいちょい「友達が〜」というセリフが出てきますが、確実に友達はいませんね。

っていうかデートの途中で髪染めちゃうとか怖過ぎだろ。



ここからは「凍りのくじら」の良かったところです。

まず「別所あきら=お父さん」って不思議な仕掛けは面白かったです。

ただ、俺は途中で察してしまっていました。多分同じように途中で気付いた方も多いと思います。

ちなみに俺は郁也くんと多恵さんの家で写真を見た時に察しました。

写真の署名が「A .Ashizawa」となっていた時に、

『あれ?ヒカリ(Hikari)じゃないんかい・・じゃあアキラか?あれ?アキラって誰だ?』

と脳がごっちゃになり、別所くんの登場シーンまで読み返すと「別所あきら」と。

まあ明らかに高校生にしては落ち着き過ぎてましたから。

俺が高校生の時なんて『俺は海賊王になる!』とか言ってましたからね。

そしてお母さんが選んだ写真で作られた写真集。

写真と共にお父さんへのメッセージが書かれており、最後には理帆子に気づかれないように撮った写真とメッセージ。

理帆子、お父さんには言ってあげませんが、

その代わりに、あなたにあてて言いましょう。

お母さんは、あなたに感謝しています。
辻村深月 著「凍りのくじら」 講談社文庫

目玉が取れるんじゃないか、ってぐらい泣きました。

読了後の「凍りのくじら」評価

「凍りのくじら」評価
不快さ (4.0)
読みやすさ (3.5)
感動 (4.0)
おすすめ度 (3.5)

刺さった一言

若尾は頭が悪いよ

(中略)

きっと私の知ってる誰より、頭が悪い。さようなら、もう電話してこないで
辻村深月 著「凍りのくじら」 講談社文庫

そのセリフ、若尾と別れた時すぐに言って欲しかったですね。




「凍りのくじら」は電子書籍でも読めます

辻村深月さんの小説「凍りのくじら」は、紙の書籍のほか、各種電子書籍でも読めます。

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他にも読んだ小説の感想や、おすすめ本をまとめています。ちょっと読んでいかれませんか?

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