まずはこの小説『黒の仏』のあらすじを読んでみたいと思います。
9世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、1つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。
無関係に見える2つの事柄の接点とは? 日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する2つの力。
複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作(いするぎぎさく)は、導き出せるのか?
賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。
講談社文庫より引用
賛否両論・・・
でしょうね!
って一言で締められる作品でした。
途中から『あれ?俺、いま何を読んでるんだっけ?』って気持ちがあふれ出し・・・
最後の一行で爆笑しました。
『黒い仏』感想
まあ、普通に考えたら「ふざけんな」って作品ですよね。
いや、法力って。
時を止めちゃうって。
過去に遡っちゃうって。
そんな状況で「指紋の無い部屋から発見された変死体」とか言われても、全然なんとも思えないですから。
「犯人を見つけるために、飛行機のタイムスケジュールからアリバイを崩す」とか言われても「それがどうした」ですから。
だって犯人が「妖魔」ですからね。空を飛んで犯行を犯して、そのままアリバイ作るために空飛んで行くとか・・・
いや、何を読んでるんですか。おれは。
いきなり世界観が違い過ぎて、これは賛否両論になりますよね。
しかもこれは「探偵・石動シリーズ」の2作品目ってところも原因なんですよ。
一作目の『美濃牛』は「火曜サスペンス劇場」っぽさのある普通の探偵ミステリでしたから。だから二作品目の『黒の仏』も普通の探偵ミステリだと思うじゃないですか。
そしたら「妖魔VSお坊さんの魔法戦争」ですからね。
これを例えるなら、
『名探偵コナン』の2話目から、毛利小五郎が大魔王と戦う
ってぐらい意味わからないですからね。
そして何よりもおもしろいのが終わり方です。
あれだけ話を広げてしまい、最後どういう風に終わるのかなぁと、そればかり気になっていましたが・・・
最後の一行見たときはさすがに笑いました。
こうして、名探偵とその助手は、物語の舞台から去っていった。
その背後では、人類の存亡を賭けた最後の闘いが始まろうとしていた。
講談社文庫より引用
ちびまる子ちゃんが魔法を使い始めてプリキュアになる
ってぐらい意味わからないですからね。
でも個人的にはかなりおもしろかったです。
いや違いますね・・・
かなり好きでした。
こういった小説がないとおもしろくないですし、
何より作者の殊能将之さんがこの『黒い仏』を書きたいがために、あえて一作目を普通のミステリにしていたとしたら・・・
そんな読者を楽しませようとする作家さん、最高じゃないですか。
おもしろかったです、ありがとうございました。
ところで「プリキュアになったちびまる子ちゃん」どこ行ったら見れます?
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