こんな方のために書きました
- 小説「虚像の道化師」を読んだ
- ガリレオシリーズが好き
- あらすじを知りたい
物理学者の湯川学が科学の力を使って事件を解決する人気シリーズ「ガリレオ」。その第7作品目の小説「虚像の道化師」を読みました。
こちらは7つのストーリーが合わさった短編集となっています。(文庫本版)ガリレオシリーズでは4つ目の短編集です。
今回は小説「虚像の道化師」の各話のあらすじとレビュー感想をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
虚像の道化師の評価
また他の東野圭吾さんの作品同様かなり読みやすいです。
読みやすさ
衝撃度
トリック
虚像の道化師 各話のあらすじ
あらすじを飛ばして感想を読みたい方は幻惑す(まどわす)
ある宗教団体にて信者の男が転落死した。その宗教の教祖が「自分が念を送ったせいで死なせてしまった」と警察に自首してくる。
教祖は身体も触れていない、という証言はその場にいた雑誌記者の目撃情報もあり、真実味があったため警察もお手上げ状態。
捜査を任された草薙刑事は、湯川に相談する。
透視す(みとおす)
湯川は草薙に連れられて行った店で、名刺を透視する女性「アイ」に出会う。彼女の力を目のあたりにし、湯川も驚く。
数か月後、川沿いで彼女が遺体となって発見される。なぜ彼女は殺されてしまったのか?
事件の真相、そして彼女の透視能力について湯川と草薙は考え始める。
心聴る(きこえる)
たまたま体調を崩して病院に来ていた草薙は、病院で暴れだした男を取り押さえる。その際、腹部を刺されてしまい入院することに。
その男は幻聴に悩まされていたとのこと。そして、その男が勤めている会社では最近不可解な自殺が発生していた。
二つのことに関連があるとにらんだ草薙は、部下の内海に湯川の元に相談に行くように頼む。
曲球る(まがる)
プロ野球選手「柳沢」の妻が殺された。この事件の犯人は簡単に逮捕されるも、その時所持していたプレゼント用の置時計が、誰のためのものであったのか分からなかった。
事件がきっかけで柳沢と知り合いになった草薙は、科学的なサポートのため湯川を紹介する。その後、柳沢の車に不審な錆が発生していることに気付いた湯川は、妻が殺害された事件へと結びつけ調査していく。
妻が所持していたプレゼントの理由。浮気をしていたのか?それとも?
念波る(おくる)
双子の姉妹である若菜と春菜。ある日春菜は若菜の見に何か起きていると感じ、確認のために彼女の夫に連絡する。
その後急いで帰宅した夫。そこで夫が目にしたのは、頭から血を流して倒れている若菜だった。
お互いに通じている感覚があるという姉妹に興味を持った湯川は、春菜と共にテレパシーについて調べだす。はたしてテレパシーは本当にあるのか?
偽装る(よそおう)
友人の結婚式に出席した湯川と草薙。しかし大雨による土砂崩れで孤立状態になってしまい、さらにそこへ殺人事件が発生したとの連絡が。
殺害されたのは有名な作詞家とその妻。そして目撃者は被害者の娘。
凄惨な現場を見て湯川はあることに気付きます。なにに気付いたのか?そして犯人は一体?
演技る(えんじる)
ある脚本家が自宅で殺害される。凶器は彼が所属する劇団で使用されていたナイフであった。
被害者の携帯には他の劇団員へ電話をかけた記録や、花火大会の写真が残されていた。
捜査を進めていくとある容疑者が。その容疑者とは過去に被害者と付き合っていた同じ劇団員の女性だった。
ネタバレありの感想
やはり短編集。サクサク読めますが、その分全体的に軽い印象でした。
最初に「短編といえど浅いストーリーではない」と書きましたが、浅くはないけど深くもない、というのが実際の感覚です。どうしても長編と比べるとどんな短編もそうなってしまうので、これは仕方ないかもしれませんが…どちらが好きかは人それぞれだと思います。
ということで今回の中で私が好きだったのは2つ。幻惑す(まどわす)と偽装る(よそおう)です。
まず、幻惑す(まどわす)。宗教団体の闇を暴いた話で、無事解決したおかげで少しでも被害が収まって良かったです。ただ結局彼らはどれほどの罪になるかわからずモヤモヤしました。
こういった詐欺を見ていると「入会金100万円の時点で気づいてくれっ!」と思ってしまいますが、気持ちに余裕のない人は何でもいいからすがりたい!と思ってしまうのでしょう。
そして事件とは関係ないですが、出てきた幹部どもの厭らしさも気持ち悪いですね。入会した女性を見て、「中々いい体してましたよ」「俺は好みじゃないから好きにしろ」「そうさせてもらいます」。
いやいや何でもう抱ける前提で話しているんだよ。
まあ実際に抱けるのでそうゆう話をしているんでしょうね。相手の余裕ない心につけこみ性欲を満たす、まさに外道。詐欺まがいなことしておいて更にコレですからね。
こんな団体を潰してくれた湯川先生、ありがとうございました。
もう1つの偽装る(よそおう)もおもしろかったです。
ストーリー自体もおもしろいですが、なにより湯川と草薙のプライベートな一日を見れることが楽しいですね。いつも草薙の仕事に協力する湯川、というのがガリレオシリーズの主な図式なので。
そして個人的に好きだったのが、部屋で現場写真を見ているシーン。「見るか?」と聞いた草薙に対して『今後役に立ちそうな知識は得られそうにないから見ない』と湯川は言います。しかし写真を見ている草薙に対しチョコチョコ横から口を出す湯川。
いや見てるじゃないか。見たいんじゃないか。
そして女性の偽装工作に気付きそれを指摘する湯川。彼女の思惑を潰しつつ、彼女の取れる最善の道を示します。そしてそれを黙認する草薙。
良いですね、ガリレオシリーズのこうゆう所、大好きです。
まとめ
今回は小説「虚像の道化師」の感想をネタバレありで紹介しました。
- 7話の短編集
- 1つ1つがしっかりとおもしろい
- やはり長編よりは内容薄め
皆様はどの短編が好きでしたか?今回も全ての短編でいろいろな方向性で展開されており、どの話もおもしろかったです。
他のガリレオシリーズの感想なども書いています。お時間ある方はぜひご覧ください。
ガリレオシリーズ 読書感想文