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【ネタバレ感想】小説「ルパンの消息」レビュー|横山秀夫さんデビュー作

本小説のレビュー書評「ルパンの消息」
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こんな方のために書きました

  • 小説「ルパンの消息」読んだ
  • 他の人の感想が知りたい
  • あらすじを知りたい

高校生3人による15年前の出来事が、後の三億円事件と繋がる。そんな長編推理小説「ルパンの消息」を読みました。こちらは「半落ち」や「64(ろくよん)」で有名な作家、横山秀夫さんのデビュー作です。

とにかくいい。素晴らしい。大好きです。静かに泣きました。

2008年に映画化(テレビドラマ化)もされた作品です。なおアニメの【ルパン三世】はなんの関係もありません。今回はネタバレを含んだ感想をご紹介します。

でらの評価
読みやすさ (4.0)
衝撃度 (3.0)
感動度 (5.0)
おすすめ度 (5.0)

ルパンの消息 あらすじ

十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人―。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。
Amazon内容より引用

ネタバレありの感想

本当に震えましたね。

ルパン三世が好きな私が、本屋でなんとなく目に入った「ルパン」という文字に興味を引き、なんとなく手に取ってみたらまさかこんな作品に出会えるなんて。読み終わった後は勝手に運命を感じました。

この「ルパンの消息」はミステリー小説や警察小説として紹介されています。しかしこれを読んだ人なら『これは一種の恋愛小説ではないか?』と感じた方いると思います。そのぐらい濃い恋愛模様。

それは登場人物の1人、橘宗一。彼は熱すぎた。彼の存在がこの小説でもっとも重要でした。

普段はクールに装い、頭もきれる。しかし心の中には熱いものを持つ青年。恋人が年上で大人であろうと絶対に自分がお金を出すという姿勢。好きな女性のためにすべてを捨てる覚悟も持つ・・・

そして急にいなくなってしまったその恋人の辛さをずっと心にしまい続け、世間からも孤立した存在に。

そんな橘がかつての恋人を見て、遂に口にした『どうしようもなく好きで』という言葉。

小説「ルパンの消息」横山秀夫ネタバレ感想

女性を大事にできない愚かな男に読み聞かせてやりたいですよ。

男女関係なく「どうしようもなく好き」って気持ちになるってすごく大切で、なおかつラッキーなことだと思うんです。そこまで相手にベタ惚れになるって一種の才能だと思ってますから。

そしてそれを継続させるのもすごく大変なことですが、橘は何年もそれを貫いたってことですからね。

そしてその橘に対する鮎美先生の言葉も愛が詰まっていました。彼女の言った『一生懸命バイトして、大切にしてくれる気持ちがホント嬉しかった。』というセリフは橘の愛がしっかり伝わっていた証拠です。

橘のことを読んで、自分の学生時代の恋愛を思い出しました。人を好きになると、そのことだけを考えてしまう。「この後会える」とわかっているときのバイトでの動きは、アルバイトながら3年目の正社員ぐらい動けていましたからね。

過去の事件に関しては結果的に2人とも殺していなかったので、数年前に時効が成立していました。よって橘宗一と鮎美先生は何のお咎めも無く釈放ということになりました。

その後の2人に関しては本では書かれていません。罪を犯したかもしれませんが、橘もまだ年齢は30歳を少し過ぎた程度です。まだまだ全然やり直せます。彼は人生の目的を見つければ絶対に何でもできる男だと思います。

橘、鮎美先生。2人で幸せになっちゃってください。

小説「ルパンの消息」横山秀夫ネタバレ感想

また、この小説が好きになったり理由の1つが「男子高校生」をストーリーのメインにしているところ。

学生時代は不良で、大人になってから平凡に生きているリアルな30代の描かれ方も見事だと思います。過去にいろいろ濃い経験をしてるからこそ、より大人の平凡さにモヤモヤしたりするんですよね。

肝心のミステリーの部分に関しては、舞子先生の謎や真犯人の登場は確かに驚きました。しかし登場人物の魅力が強すぎて、事件そのものにあまり関心が持てなかったのは事実です。そのぐらい素晴らしいキャラ設定でした。

最後になりますが、殺されてしまった舞子先生。突き飛ばされて頭打ちつけて、そのあと金庫に押し込まれて、その後2階から突き落とされて、さらにその後また屋上から突き落とされて…

ホント不謹慎ですが、なぜか「トムとジェリー」を思い出しました。

まとめ

今回は小説「ルパンの消息」の感想をネタバレありで紹介しました。

ページをめくる手が止まらないくらい引き込まれる小説です。また、しばらく時間が空くたびに再度読みたくなる数少ない作品の1つです。

他にも小説のレビューを掲載しています。お時間ある方は是非ご覧ください。

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