こんな方のために書きました
- 小説「真夏の方程式」を読んだ
- ガリレオシリーズが好き
- あらすじを知りたい
ガリレオシリーズの中でも映画化されるほどの人気となった小説「真夏の方程式」を読みました。
シリーズとしては第6弾となる作品で、3作目の長編となっています。長編らしいストーリーの深さと面白さ。多くの人から高評価を受ける理由が納得できる作品でした。
今回は小説「真夏の方程式」のあらすじとレビュー感想をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
真夏の方程式の評価
読みやすさ
衝撃度
トリック
真夏の方程式 あらすじ
夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。
Amazon内容紹介より抜粋
なお、こちらの小説は「容疑者Xの献身」に続き、ガリレオシリーズの劇場版2作目として映画化されました。
ネタバレありの感想
怒られるのを覚悟し、すごく安易な言葉で感想をいいます。「とてもいい作品」でした。
『あんな深い話をそんなチープな言葉でまとめるな』と罵声が飛んできそうですが、仕方ないんです。色々な要素が混ざり合って出来上がったこの作品の「一部」を切り取るなんて出来ません。全て揃って「真夏の方程式」でしたから。
この作品の根底にあるのは、やはり「過ち」だと思います。1つの過ちでいろいろなものがズレていき、不幸がおきました。
しかしその「過ち」を「愛」でどうにかしようとするんですよね。だから切ない。切なすぎるし、悲しいんです。
そしてその根底の上で、海と子供と夏休みという要素が合わさって、感情がグラグラしてしまう。でも最後は夏の空のように広く高く終わるんです。そんな作品をなんと評価したらいいのか…
いや、「とてもいい作品」でした、以外ないじゃないか。
まあでも、もう少し深く感想を書かせていただくと、やっぱり湯川と恭平くんの関係性がすごくよかったです。
確かに私自身にも記憶があります。子供の頃って自分にできないことができる大人にすごく憧れるんですよね。学校の近くに住んでいたサッカーのうまいお兄さんに『すげー!』と言ってくっついていたのを今でも覚えています。
私の場合、「すげー!」=「好き」でした。きっと恭平くんも同じだったのだと思います。
そんな恭平くんが湯川相手でも子供らしく接するところは微笑ましかったですし、ちょっとした大人の顔色を伺い、察するあの「子供独特の感性」が表現されていて上手いな、と思いました。
そして「子供は嫌い」という湯川も、恭平くんに合わせるところは彼の目線に合わせつつ、子供でも1人の人間として対応に扱う。湯川らしさが出ていてよかったです。
だからこそ2人でペットボトルロケットを飛ばすところは、この切ない話の中のオアシスでしたね。
そして結局事件は真実を語られず。これをグッドエンドととるかバッドエンドととるか。それはきっと読んだ人によって変わると思います。
私にとってはバッドエンドでした。やはり無実の人間を殺したにもかかわらず、ちゃんとした罪として裁かれない、というのは悲しい結末です。
最初の一歩目で「過ち」を犯して、その後もその「過ち」に引っ張られ続けた家族。仙波のことを隠し続けた母親と娘も、自分の子供じゃないと分かりながらも口にしなかった父親も…川畑家は全員不幸ですから。それも辛いのですが…
この事件の結末に、スッキリしない方も多かったのではないかと思います。それでも。最後に湯川と恭平くんのやりとりが救ってくれました。救ってくれたのは湯川の言葉はもちろん、それ以外にも何かを感じました。
それはきっと「夏」です。「夏」には言葉にはできない「何か」があります。その「何か」が救ってくれた、そのように感じました。
まとめ
今回は小説「真夏の方程式」の感想をネタバレありで紹介しました。
- 夏らしさを感じる切ないストーリー
- 劇場版第2作目として映画化
- 「とてもいい作品」
確かに切ないストーリーで、爽快感はないかもしれません。しかし読むことで心のどこかが暖かくなる良作でした。毎年夏に読みたくなりそうです。
他のガリレオシリーズの感想なども書いています。お時間ある方はぜひご覧ください。
ガリレオシリーズ 読書感想文