ウルトラマン世代の私には超高速ど真ん中ストレート。
そんな小説、山本 弘さんの『MM9』を読んだ感想です。
この小説、ジャンルはズバリ「怪獣小説」。
怪獣小説って聞きなれないですが、昔ウルトラマンシリーズを見てテレビの前で腕を十字にしていた世代にはピンとくる名前です。
小説の感想としては一言、「素晴らしい」
この本を皆さんに共有したいです。ウルトラマン風に言うと、
『シェアッァァ!』
したいです。
『MM9』感想
「気象庁特異生物対策部」略して「気特対」。
素晴らしいですね、気特対。本当にいそうな対策部で著者の本気がうかがえます。
このMM9の世界では、怪獣が地球にいて、怪獣たちから人々を守る「気特対」の人々を軸に書かれています。
怪獣はいわゆるウルトラマン系の怪獣。人間の何倍ものサイズです。なので、人間の無力さが浮き彫りになります。戦艦や大砲のように大きな武器ではないと太刀打ちできないのです。
そしてこの小説のおもしろいところが、「気特対」の怪獣に対する対応が非常にリアルなところ。
例えば、敵を誘導したくても住民が多いところには誘えません。
そりゃそうですよね、ウルトラマンとかだと余裕で街中で戦ってビルとか壊していますが、普通に考えたら怖すぎます。
テレビでは敵を倒した後の『ありがとぉー!ウルトラマーン!!』って笑顔で手を振る人間たちがいますが、現実だったら『よそでやれぇー!』ってブちぎれますからね。
そしておもしろいのが、怪獣が出なかったとき。
避難警報を出したにもかかわらず怪獣の被害がなかったときは・・・
その地域の観光組合から収入減少で訴訟を起こされます。
かなりリアルですが、想像したらめちゃくちゃおもしろくないですか?
人間では到底太刀打ちできない。しかも周りのことも考えながら決して好き勝手に行動はできない。そんな状況で、では気特対どうするか?
こういった現代の現実世界と怪獣がいる世界をうまく融合しており、それはもう「素晴らしい」の一言です。
MM9とは?
小説のタイトルにあるMM9とは・・・
Monster Magnitude(モンスター・マグニチュード)の略で、簡単に言うと怪獣のヤバさを数値化したものです。
基準となるMM5。
【推定体重100トン・10以上の街が壊滅・600名以上の死者】ということなので、怪獣の恐ろしさがこれでよく分かります。
600名以上殺しておいてMM5ですからね。
この本の最終章に出てくる怪獣クトウリュウはMM9なので、そのヤバさが数値的に想像しやすいのも、この小説のおもしろさ。
怪獣の姿に関してはビジュアル化されていないので、そこは小説らしく自分の頭の中の想像力をフルに活用する必要があります。
それもおもしろいポイントですね。
私が一番好きだったシーン
それは気特対のメンバーが怪獣の名前をつけるところ。
ここもなぜかやたらリアルで「あんまりふざけた名前だとマスコミからつっこまれる」と慎重になりながら、いい大人が色々アイデアを出し合うシーンは笑えました。ネーミングは大切ですからね。
特によかったのが特にエビの集合体が出てきたときの、名前をつけるシーン。
『エビだから、エビゴン?』「安直すぎ!」のやり取り、それはもう「素晴らしい」の一言です。
ということでボチボチ3分経ちそうなで、そろそろ帰ります。
では、皆さん。
『シュワッチッ!』
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