つまらない、とかじゃないんですよ。
徹底的に合わなかったんですよ。
綾辻行人さんの代表作ともいえる館を舞台にした推理小説「館シリーズ」4作目の作品「人形館の殺人」を読みました。
この人形館、館シリーズでも異色と呼ばれ、評価の分かれる作品と聞いていましたが…
ちょっと期待が大きすぎましたね。満足できたか?と聞かれたらハイとは言えなかったです。
ねっとりとした世界観。そして展開もずっとねっとりスローペース。
そして結末もねっとりエンド…
いやーきつかったです。
「人形館の殺人」感想
シンプルに「自分に合わない小説」。
話の展開のスピードが遅い。主人公の飛龍想一の魅力がない。結末も納得できない。
これは合わない小説でした。
序盤からなかなか話にのめり込めませんでした。
まず人付き合いの苦手な男が様々な嫌がらせに悩まされます。今までの館シリーズに比べると非常に地味です。
そして登場する近所の住民たち。盲目のおじさん以外インパクトありません。
また作中では児童連続殺人事件という非道な事件が発生しますが、なぜかこれもピンときません。
あえて感想を声で表すなら『ほーん』です。
超興味ない時じゃないと出ない声じゃないですか、ほーんって。
「今後この事件が関連あるのでは?」とは思えない。気分が盛り上がっていかない、というか夢中になれない。
そんなこんなで話が進んでいき、ストーリーが動きだすのが全体の約6割を過ぎたあたり。
それまではひたすら悶々とした男の話が進みます。この間がなんとも退屈。
「誰でもいいから事件でも事故でもいいから起こってくれ」と祈りましたからね。
この悶々とした男、飛龍想一がまたつまらないんですよ。
親の遺産で生活し、好きな絵を描いて暮らす。
なんだそれは。つまらなすぎる。
ギャンブルに金を使いすぎて破産して闇金に行って地下の強制労働施設行くぐらいしないと。
そして途中で母親を妙に「女」として見るんですよ。
「働かない」+「つまらない」+「気持ち悪い」って。
数え役満じゃないですか。
その後ようやく島田清の名前が登場し、そこから28年前の事件のことが徐々に明らかになっていきます。
ここで明らかになる「過去に亡くなった乗客たち」と「現在住んでいる住人たちの名前が同じ」というところは、この小説の一番の鳥肌ポイントだったと思います。
うわぁこれはヤバい・・・綾辻行人が本気出してきた・・・
ここから期待値が最高に上がり、「さあどんな結末が…?」と読み進めると・・・
実は・・・2重人格者でした!
これは…どうゆうことなんでしょう…
正直に言えばショックです。この終わり方には残念でした。
自分でも相当いろいろ考えてましたからね?人形のこととか、中村青司のこととか、かなり考えてました。
その一部を紹介します。
事件はマネキンが起こした?
つまり「マネキンに意思が宿り様々な犯罪を犯した」というオカルトな方向性です。
館シリーズはファンタジー小説ではありませんので、このような考えは基本的にありえません。
しかし、今回登場したマネキンというものに意味があると考えた結果、このような考えが思いつきました。
また2作目「水車館の殺人」のラストシーンにて、普通では考えられない展開が待っていました。
それにより『今回もあり得ない展開が待っている可能性もあるのでは?』と推測したのです。
と思ったらただのマネキンでした。
恥ずかしくて、穴に入りたいです。
人形館はと中村青司は関係ない?
今回の人形館。人形館と呼ばれる割には人形が少なく感じました。
また途中で人形の視線の先に埋められたマネキンを見つけており、その時点ですでに役割を果たしています。
なにより明らかにインパクトが弱すぎます。数体のマネキンがあるだけの家だったら他にもありそうですし・・・
そこでピンときました。
人形館は中村青司によって建てられたものではない、と。
これは意外にも当たっていました。
嬉しかったです。穴から出たいと思います。
架場久茂はどんな存在だったのか?
一番知りたかったこと。
それが架場久茂に関する真相です。
あくまで私の考えですが、おそらく小さい頃の飛龍想一が殺してしまった相手。
それは架場の実の兄だったのだと思います。
そうなると、今回の事件は架場の復讐だったのでしょうか。
しかし全ては2重人格の犯行だったと結論が出ています。すると架場は全く関係なかったのでしょうか。
気になります・・・
でももう一回読む意思も気力もないですけどね。
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