自分のケチさをここまで嫌になったことはないでしょうね。このドケチ!
ということでアガサ・クリスティーの代表作『オリエント急行殺人事件』を読みました。
登場するのはあの名探偵・エルキュール・ポアロ。実はこれが私にとって初のポアロ作品です。
舞台はヨーロッパを走る寝台列車。そこで起きる不可解な殺人事件——。
1934年に発表されて2017年には映画化され再注目されるほどですからね。話がおもしろいのはわかっていました。
ただ私、凡ミスしましてね。
ということで小説の感想も含めて、私の凡ミスをまだ読んでいない人にも共有します。
みんな、最新版を買うんや
早速ですが、私の凡ミス。
それは「買った電子書籍の翻訳が古すぎたこと」です。
今回電子書籍で購入しようと思い検索したところ「オリエント急行殺人事件」が何冊も検索に引っ掛かりました。
『さすが名作…とんでもない販売方法やで…』って思ったのですが、そのうちの1つが激安セール。
ちなみに私が使ったのはこの版です(リンク)
さすがに内容が違うなんてことはないだろうと思い、『これや!これを買いや!』って感じですぐさま購入ボタンを押したわけです。いつもより少し強めに。
そして読み始めてすぐに気づきました。
『なんやこれ…古いやないかい!』
って。そうです、翻訳されたのが非常に古かった本だったんですね。
正直読む気は失せてしまったのですが、やはり買ってしまった以上、全部読まないとなんか「負けた」気がするじゃないですか?
あの日のクラスメートには負けても「昨日の自分」には負けたくないじゃないですか?
中でも一番引っかかったのが「キモノ」。ヨーロッパの寝台列車で「キモノを着た婦人が…」といわれても・・・ねえ?
調べてみたら、その本は1957年12月に初版が発売と書いてありました。
約70年前です。そりゃ古いですよね。
「オリエント急行殺人事件」感想
ここからは小説の感想。特に気になったのは以下4点です。
真相は途中で読めてしまった
展開を追いながら「これ全員グルなんじゃ…?」と推測しました。
なぜかと言われても理由はないのですが、全体的に怪しいな、さてはあんたらみんなグルだな?という…へっぽこ探偵みたいな推理をしていたら当たってました。
ただし「全員が1回ずつ刺した」という結末は予想外。これはもう「狂気」ですよね。
こんなみんなにグサグサ刺されるヤツなんて「黒ひげ危機一発」以外いないですからね。
ただこれ、8番目ぐらいの人とか多分あんま「刺してる感」薄かったでしょうね。
流れ作業過ぎて『とりあえずエイっ』みたいな。
被害者ラチェットの「罪の深さ」が伝わりにくい
そんな黒ひげ・・・じゃなかった被害者のラチェットは、少女を誘拐して殺害し、家族を破滅させた極悪人。
もうめった刺しにされても当然ですし、なんら同情の余地もないです。
しかしその過去の事件に関しては、物語中ではその「情報だけ」しか語られません。
これだとどれだけラチェットが極悪人だったかが伝わりにくいですよね。
辛いシーンは嫌いなので読みたくはないですが、それでも回想シーンなどで被害の惨状が描かれていたら、もっと感情移入できた気がします。
そしたら私もさらに犯人に怒りと、被害者に同情ができましたよね。
そうすれば私も『ちょっと自分もいいっすか?』って感じで列に並んじゃいますからね。
尋問シーンが長く感じる
まあこれがこの小説のメインにもなるので仕方ないことではあるんですが・・・
尋問シーンが長ぇんですよ。
乗客ひとりひとりの尋問が続き、情報量が多い分、途中で「誰が何を言っていたか」を忘れてしまうんですよね。
そして追い打ちが登場人物の名前。
ヒルデガード・シュミットにアンドレニ伯爵夫人。さらにはドラゴミロフ公爵夫人って…
王下七武海かな?
二つの真相を提示するポアロの「粋」なやり方
物語の終盤、ポアロは見事この事件の謎を解き、皆の前で 「二つの答え」 を示します。
それが「外部犯が列車に乗り込み犯行」と「乗客12人が共犯」説。
もちろん後者が事実なのですが、それを決めるのを列車の車掌さんに任せたのです。
どんなに犯人が悪くても「法は犯してはならない」という探偵が結構いますよね。
個人的に、その考え方は結構モヤモヤします。言いたいことはわかるけど、反対派です。
しかしポアロは「裁きを下すのは自分ではない」と言います。
探偵の役割は真相を明らかにすること。
これが世界に名を馳せる名探偵ゆえの姿勢ですよね。カッコ良かったです。
おそらく最新版
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