このページに書いてあること
青崎有吾さんの書いたミステリー小説「体育館の殺人」を読んだ読書感想文です。
まるでアニメをそのまま小説にしたような世界観で、登場人物のセリフから設定。
事件の内容から解決まで、エンターテイメントと呼べるような作品でした。
なお、言いたいことは結構あります。
「ミステリー小説は読んだことないけど読み始めたい!」って人にはおすすめできます。
しかし、ダークでリアリティ色の強いミステリー小説好きには物足りないかもしれません。
小説「体育館の殺人」レビュー感想
正直に言ってしまえば、良い悪いの対比で言うと2:8です。
まず良かったのは「ミステリー小説の入門書」と呼べるぐらい親切でしっかり謎解きしてくれた本だったこと。
ミステリー小説を読んでみたい人がいて、初めて読んだのがこの小説だったら、きっと読書が好きになると思います。
ちょっと登場人物は多いですが、学校という舞台はほとんどの人が経験する場所ですし、想像しやすい。
体育館の放送室とか懐かしさで泣けてきますよ。
そして読者が参加できる作りになっているのもいい。
やはりミステリー小説の読者の多くは『犯人を見つけてやる!』って思いながら読んでいる人が多いと思いますし。
ちゃんと理解していれば読者でも犯人を見つけられるようにヒントをしっかり出してくれるところはとてもフェア。
なお、自分は2日間考えましたがさっぱり。全然わかりませんでした。
ここまでが良かったところ「2」です。
さあ行きます、残りの悪かったところ「8」を。
まず、世界観がアニメすぎました。
セリフとかも現実感がないというか、どうしても「アニメのキャラクター」が思い浮かぶ感覚。伝わりますか?
小説を読んでいると自然と頭の中にイメージを想像しますよね?
例えば、【髪の長く、ややつり目だが、恐ろしく美人な女性だった】とか言われたら『おお、北川景子みたいな…好き!』って実写の人物が頭に浮かびませんか?
自分なんて北川景子を思い浮かべたら関係ないDaigoまで一緒に浮かんじゃいますからね。頭に。
それがこの小説では、思い浮かぶのが「実際の人間」ではなく「アニメのキャラクター」なんです。
著者のアニメ愛が詰まっているのでしょうかね?もしくはセリフなどの影響もあるかもしれない。
そのせいでリアルさがない。殺人事件にあるべき「重さ」というか「現実味」が感じられない。
学校で生徒が殺されたわけですよね。これってめちゃくちゃ大事(おおごと)じゃないですか。
マスコミも連日ワラワラいるはずだし、保護者からは鬼のように問い合わせがあるはずだし、その事件に対する学校側の対応も重要になってくるし、遺族の悲しみだって相当なもんです。
そして犯人の動機もなんていうか…不正が見つかったからって殺す?安易すぎない?遺族の気持ちを考えたことあるのか。
これを読んで犯人を見習え。
そしてその犯人をそそのかせたのが副生徒会長の女の子。「彼は生徒会長の器じゃなかった」って。
もうなんなの…?そんなことで殺すか?
そういった「リアルさ」が(あったのかもしれないけど)書かれていないので、どうしてものめり込めませんでした。
そしてさらにのめり込みづらくさせたのが警察。
こんなに役に立たない警察は初めてでした。他のミステリー小説に出てくる刑事さんを見習え。
しまいには事件を解決した高校生に「お金も出すので今後も協力してくれ」って。
ちょっと待ってくれ、刑事としてのプライドはどこ?捜索願いを出せ。
全体的に、なんというか殺人事件に対してみんな軽くない?窃盗事件じゃないよ?殺人事件ですよ?ってヤキモキしちゃいました。
ライトなミステリーが好きな人にはこのくらいの軽さがいいのかもしれません。
ヘビーなミステリーが好みな俺にはパンチが弱すぎました。
『もっと強く!思いっきり…ぶって!』という感じでした。
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