こんな方のために書きました
- 小説「私が彼を殺した」を読んだ
- 犯人が誰かわからない
- どうやって犯人がわかるのか知りたい
読者参加型の謎解き推理小説「私が彼を殺した」を読みました。皆さんは犯人が分かりましたでしょうか?
この小説は、犯人が小説内に書いていない、という特徴があります。本の内容、さらにはヒントを読めばしっかりわかるようになっています。
ということで 今回は小説「私が彼を殺した」の犯人判明までの解説をしていきたいと思います。わからなかった方にスッキリしていただけたら幸いです。
とにかくすぐに犯人が知りたい方は小説「私が彼を殺した」を簡単に紹介
東野圭吾さんの著書で、『加賀恭一郎シリーズ』というシリーズ物の1つです。今回の「私が彼を殺した」はシリーズ第4弾となる作品です。
あらすじは、ある結婚式で新郎が殺されます。容疑者は3人。そしてストーリーはその3人の目線を通し、パートによって読み手が変わる仕様になっています。
誰が犯人なのかを読者が考える、読者参加型の推理小説です。
穂高を殺した犯人は誰?
早速ですが、穂高誠を殺した犯人は誰なのか?容疑者は3人いました。
- 駿河直之(穂高のマネージャー)
- 雪笹香織(穂高の元カノ)
- 神林貴弘(穂高の婚約者の兄)
ズバリ、薬を仕込んで殺害したのは…駿河直之です。
なぜ駿河が犯人なのか。順に見ながら解説していきます。
犯人が判明するまでの解説
全ての薬の行方
まずは薬の所在に関して明らかにします。今回の話で薬は全部で24錠出てきます。穂高が買った新品12錠と、自殺した浪岡準子が買った新品12錠です。
- 穂高が家で飲む
- 穂高が家で美和子や雪笹の前で飲む
- 結婚式の時に美和子がピルケースに入れる
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 浪岡準子が自殺に使用
- 駿河が取る
- 雪笹が取る
- 浪岡準子がピルケースに仕込む①
- 浪岡準子がピルケースに仕込む②
- 浪岡準子の家で分解されていた
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 警察により回収
- 未発見
穂高が買った薬は全て使った場所も残りも判明しています。また、そもそも毒を入れていないので全て事件には無関係となります。
問題は「浪岡準子が買った12錠」です。小説を読むとそれぞれの薬が下記のように移り渡ったことがわかります。
- 駿河がとった薬→脅迫状と共に神林へ→神林は使わずに加賀へ提出
- 雪笹がとった薬→雪笹は使わずに加賀へ提出
- 浪岡準子がピルケースへ→部屋に捨てられる→神林が2つ拾う→1つはノラ猫に使う
この時点で神林が1つ持っているだろう、ということのみ明らかになっており、駿河と雪笹は持っていないことになってます。しかし浪岡準子が買った12錠のうち、1つ未発見のものがあり、それは駿河と雪笹なら取得できるものでした。
つまり結婚式のとき3人とも毒薬を持っていた可能性がありました。小説の終了時点では誰が犯人でもおかしくない状況です。
ピルケースの行方
穂高は結婚式の当日、ピルケースに入った薬を飲んで亡くなりました。ではピルケースはどのように穂高の手に渡ったのでしょうか?以下がその順番です。
美和子→雪笹→西口(雪笹の後輩)→駿河→ボーイ→穂高
この時、誰も薬を差し替えることはできなかった、と明らかになっています。また西口さんとボーイは動機もなく無関係です。
ヒントでわかること
本の末尾にある袋綴じには、「教授」と「助手」による対話形式のヒントがあります。
- ピルケースはペアで2つあった
- ピルケースに「穂高の前妻」の指紋があった
- 薬が差し替えられたのではなく、ピルケースがすり替えられた
つまり誰かが穂高の前妻が使っていたペアのピルケースに毒薬を入れ、それをすり替え穂高に渡しました。よって穂高の前妻のピルケースを手に入れることができる者こそ犯人なのです。
各事実がわかる箇所
ピルケースがペアであるとわかるところ
前に結婚していた頃、当時の奥さんとペアで買ったものだということを、俺は穂高から聞いていた。
東野圭吾「私が彼を殺した」57ページ
ここで同じピルケースが2つあることが明らかになります。
駿河が穂高の前妻の持ち物を持っているとわかるところ
穂高の前の結婚生活を暗示させる品々だ。無神経な穂高でも、前妻とペアで着ていたTシャツや、前回の結婚写真などを新妻に見せるわけにはいかないと思ったようだ。
東野圭吾「私が彼を殺した」181ページ
離婚後に前妻が思い出の品をいろいろ送ってきています。その中にペアのピルケースがある可能性は非常に高いでしょう。
駿河がピルケースをすり替えたとわかるところ
俺は懐中時計に似たピルケースの蓋を開けた。白いカプセルが一つ入っている。「だけど、俺もすぐに教会に行かなきゃいけないしな」蓋を閉め、ポケットに入れてから周囲を見回した。すぐそばをボーイが通りかかった。俺はボーイを呼び止めると、「これを新郎のところに届けてくれ」といって、ピルケースを渡した。
東野圭吾「私が彼を殺した」147ページ
ピルケースを受け取った後に、「ポケットに入れてから」と表記されています。ここですり替えたということです。会話の流れ上、わざわざ一度ポケットに入れる必要はありませんからね。普通。
まとめ
今回は小説「私が彼を殺した」の犯人と、そこに至るための解説を行いました。
- 犯人はマネージャーの駿河
- 予め薬を2つ盗んでいた
- 前妻のピルケースを使い、すり替えた
小説が終わった瞬間はまったくわかりませんでしたが、袋とじのヒントを読んだ後はすぐにピンときました。要所を抜粋して読み返し犯人判明!絶妙過ぎる難易度でした。
「私が彼を殺した」の感想や、他の加賀恭一郎シリーズについても書いています。お時間ある方はぜひご覧ください。