こんな方のために書きました
- 小説「悪意」を読んだ
- 加賀恭一郎シリーズが好き
- あらすじを知りたい
東野圭吾さんの小説「悪意」を読みました。
刑事の加賀恭一郎が活躍する、通称「加賀恭一郎シリーズ」の4番目の作品です。なおこちらはテレビドラマ化もされました。
まず感想を言わせていただくと、超驚きの構成で騙されまくりました。ストーリー的には胸糞悪いですね。タイトルの意味がぴったりの小説でした。
ということで小説「悪意」のあらすじとレビュー感想をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
悪意の個人的評価
読みやすさ
衝撃度
構成
おすすめ度
悪意 あらすじ
人はなぜ人を殺すのか。東野文学の最高峰。人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、その妻と昔からの友人だった。逮捕された犯人が決して語らない「動機」とはなんなのか。超一級のホワイダニット。
Amazon内容紹介より引用
あらすじにある「ホワイダニット」とは英語のWhy done it(ホワイ ダン イット)を滑らかに読んだ形です。
この英語の意味は「なぜ犯行を行ったか」という意味で、犯人は既にわかっており、その動機を深掘りしていく形の小説です。
ネタバレありの感想
もうホント上手すぎる小説ですね。結局2人の人の目線でしか書かれてない、という構成が全てを騙しましたね。
客観的な事実はなく、2人が勝手に言ってることなので全て真実だと思って読んでいきます。『こんなことがあって…』『実は不倫をしていて…』『あいつにはめられて…』などなど。読み手はきっとみんな『なんてひどいやつなんだ、日高。野々口さんの気持ちもよくわかる…』と思っていたでしょう。
東野さんにまんまとやられてしまいましたね。
それが一変。野々口の語っていたことが作り話だったとわかり、一気に『日高…いや、日高さんは全然悪い人じゃなかったんじゃないか!』と思ったことでしょう。ホントうまい構成です。
ということで、この小説の中に登場した2つの罪に注目して感想を書いてみたいと思います。
マスコミの罪
「ゴーストライターをしていた」という野々口の手記でマスコミが盛り上がり、殺された日高さんを悪く言うような報道。
現に作品にもこのように書かれていました。
確かにテレビのワイドショーでも週刊誌でも、日高邦彦が殺されたことよりも彼が友人の作品を盗んでいたことのほうを大きく取り上げている。しかもその裏に、前妻の不倫が関わっていたとなれば、普段文壇とは縁のない芸能リポーターたちもまでが喜んで飛びつくのも当然といえた。
引用:東野圭吾著「悪意」
これがマスコミにバレた理由が警察からなのか野々口の手記からなのかわかりませんが…どちらにしても、これで日高さんは世間的に悪い評判となってしまいました。
しかし結果は違ったわけです。野々口のデマに惑わされ、その報道を見た人はみな信じ記憶として定着しました。
このマイナスの印象を与えたマスコミ。『やっぱり違ったよ!』ってプラスの印象を与えることをするのでしょうか?しないでしょう。なぜならそれは自分達が嘘ついていたことを認めるものですからね。
となると、完璧に日高さんの負け。これは許せませんよ。
野々口の罪
こいつはなかなかの外道でしたね。嫌悪感たっぷりの最低な奴でした。
まあ「完全に同情できないか」と言われたらそんなことはありません。彼もいじめられていた一人ですし、きっと女の子の暴行事件も命令された可能性がありますから。また彼には両親もいないということで、孤独ということもあったでしょう。
しかし…それをふまえた上でも最低な奴ですね。
神様はそんな彼を見逃してなかったのでしょう。結果的に野々口に特別な女性はいなかったようですし、病気にも侵され余命も短そうです。
まあこの小説は「2人の目線」が特徴なので、最後に加賀刑事が『日高少年はいい人だった』と言いましたが、これも実際のところはわからないわけです。
それを言ってしまうと結局「全部何もわからない」みたいな感じですが…まあそれも小説の面白いところですね。
まとめ
今回は小説「悪意」の感想をネタバレありで紹介しました。
- 驚きの構成がおもしろい
- 人間の汚い部分が多くて胸糞悪い
- 片方の話だけでは信用できない、という良い例
読み終わった後にわかるタイトルの「悪意」の意味。この言葉と内容がすごくぴったりの小説でした。
他にも東野圭吾さんの小説の感想や、おすすめシリーズ紹介などを書いています。お時間ある方はぜひご覧ください。