小説『孤島の鬼』感想|さすが江戸川乱歩、この犯人はダメだろ
「江戸川乱歩の最高傑作」とも呼ばれている小説「孤島の鬼」を読んだ読書感想文です。
書かれたのがなんと1929〜1930年という昭和初期の作品。
昔の表現が頻繁に使われるため少し時間はかかりましたが、読み応えありました。
とりあえず感想を言わせていただくと・・・
こんな話を昭和初期から作ってる「江戸川乱歩」って何者なんですかね。
「孤島の鬼」感想
鬼ですね。本当に鬼。
諸戸の父・諸戸丈五郎の悪業はまさに「タイトルに偽りなし」でした。
私がこの作品の中で一番気持ちを持っていかれた部分はここ。
諸戸丈五郎はなんて悪党なんだ、ということです。
人殺しを依頼し、実際に丈五郎本人も人を殺しています。
しかし私的に一番許せないのは、自らの手でかたわ者(身体障害者)を作りだす、という行為です。
こいつ何なんですか?まさに鬼ですね。鬼っていうかクズですよ。
じゃあなんでこいつがそんなことを行ったのか。悪行の理由。それが・・・
『自分がかたわ者で健常者に馬鹿にされた恨みがあった』
うーん・・・いや、わかります。わかりますよ。それも酷い行為です。許されないですよ、バカにしたやつもクズと呼べます。
しかしね。
だからといって彼のやってることは到底許せるものではないでしょう。
物凄い嫌悪感を感じながらも、それゆえに引き込まれてしまった部分でもあります。そのぐらい驚く内容でした。
他の方のレビューなどを拝見すると「これは江戸川乱歩の最高傑作だ!」と書かれているレビューも多く見かけます。
そういった方々はきっと「これほどの悪を書いたことに対しての評価」なのかなと私は思いました。
最終的に丈五郎の精神は崩壊してしまい、その後然るべき処罰を受けたとあります。
しかし個人的には納得できないですね。全然。
「丈五郎にはもっと地獄を見てほしかった」というのが正直な気持ちです。
また「孤島の鬼」の他のレビューを見ると、意外と同性愛のことを取り上げている方が多くいられるように感じます。
主人公の蓑浦に対する、先輩の諸戸の愛ですね。きっと当時は今よりも同性愛が珍しかったのではないかなと思います。
現代のように情報が飛び交う世界でもなかったでしょうし、多様な考え方が少なかった時代だったはずです。
それが多くの人には新鮮で、興味を抱かせたのかもしれません。
現代ではボーイズラブ(通称BL)というジャンルが世間的にも確立されたことからみても、このような同性愛を表現した作品に興味を持った人たちがいるかも…と思いきや、
すでに出版されていました。
孤島の鬼のBLコミック。
『あるんかい』と声が出ましたよね。