このページに書いてあること
道尾秀介さんの小説「透明カメレオン」を読んだ読書感想文です。
一言で感想を述べるとしたら…
なんでしょうね。話がどこに向かっているかわからず。どこに着地したかもわからない。読み終わった後も何も残らず。
ストーリーとしては全然好きじゃなかったです。
ただ、文末の放送作家「鈴木おさむ」さんの解説はよかった…
この人すごいなと素直に思いました。
小説「透明カメレオン」感想レビュー
終わり方が終わり方なんでこんなこと言ったら怒られそうですけど・・・
全然好きじゃなかったですね。
主人公はラジオパーソナリティの桐畑恭太郎。声はめちゃくちゃいいけど容姿は微妙という男性。
そんな彼の行きつけのバー「if」に三梶恵がやってきます。
恵が桐畑恭太郎のファンだと言うものの、店内にいたゲイバーのホステスである「レイカ」を桐畑恭太郎と誤解。
なので2人は嘘をつくことに。レイカが恵とやりとりをしつつ、桐畑恭太郎が隣の席で声を出すという…
もうこの時点で『なにこれ…』って声が出ましたね。会社のトイレで。
いやどう考えても狭いバーで「2人の人間が成りすます」、なんて出来るわけがない。
こんなもん誰でもわかるし、実際にそんな場所に出くわしても「実行しよう」なんて絶対しない。無理がありすぎる。
でもそれをいい大人がやっちゃうんですね。現実感がまるでない。
で、結局それは相手にバレてました、ってオチにはなるのでそこでホッとしたんですが…そういうマンガみたいな雰囲気が「あ、なんか乗れないな、この小説」ってなりました。
話の内容はまあまあシリアスなのに、登場人物がマンガみたいなキャラだと、そのチグハグさで入り込めないんですよね。どっちかにしてほしい。
そんな雰囲気を打破できるとしたら魅力的な登場人物が必要なんですが、残念ながらそんなキャラは待てど待てど全く出てこない。
まずヒロイン役の三梶恵。こいつはとにかく自分勝手。
これがアン・ハサウェイだったとしてもイラッとしますよ。
そして恭太郎も恭太郎で妹の部屋とか使わせちゃうし。
さらにはその周りのサブキャラたち。とにかくキャラが薄い。極薄。
もう好きなキャラがいるとかいないとか、そういう話ではない。好きになれるような話が存在しない。キャラ設定の薄い登場人物たちが、薄いまま終盤まで行きます。
で、最後に用意されていたどんでん返し。
悲しすぎる。何ですか、これは。
実はみんな悲しい思いをしてたんだよ、って事実をラストに突っ込んでくる。ここにきて登場人物のバックグラウンドが見えてきたけど、あと数十ページで終わりですよ?
ラストに過去の悲しいこと言われてもね…読んでる側としてはどうとも言えないというか。
『まじか…ツラかったんだ…で?』って感じです。もう小説終わりですから。ラストがものすごい投げっぱなしのラスト。もちろんその後の考察とかもしようがありません。
あの悪徳企業は?妊娠してた百花さんはどうなる?恭太郎と恵の関係は?
もう全てがわからない…
この終わり方が無理でした。嫌いでした。
ただ。
鈴木おさむさんの解説はホント読んでてすごいなぁと思いましたね。
放送作家の鈴木おさむさんが小説の感想を言ったり、小説の内容と絡めた自身の経験を語っているのですが…書き方がすごく話し言葉のように書いていて。
ある時ね、槙原さんがね、「君は僕の宝物」ってアルバムを出して、その発売記念の企画をやることになったんですよ。
読みにくいじゃないですか。「この人こういう文の書き方なんだな。嫌いだな。」って思ってたんですが…
最後の最後に、
というわけで、お聞きください。槇原敬之さんで「君は僕の宝物」
ってラジオ風に締めるんですね。この小説のテーマでもある「ラジオ」とかけていた。
解説は「鈴木おさむさんがラジオで話している」ていで書かれていたわけです。
全然気づかなかったので「うわーすげえ」って声出ましたよ。
本編よりも感動しました。
なお鈴木おさむさんの解説にも「透明カメレオン」のことはほとんど書いてなかったんで、多分鈴木おさむさんも書くことなかったんだと思います。
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