2024年も、あと少し。
今年もたくさんの本を読みました。
ということで、2023年に読んだ小説の中で、おもしろかった5作品を紹介します。(発行年数は関係なしです)
方舟
「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい!」などなどたくさんの賞を受賞した、2023年のモンスター級ミステリ作品『方舟』。
本の帯には、作家の有栖川有栖による一言「この衝撃は一生もの」とありました。そんなこと言われたら、読まないわけにはいきませんよね。一生モノって。
そんな方舟が2024年にとうとう文庫化されたので読んでみましたが…
確かに衝撃が強めでした。たぶん血を吐きました。
でも衝撃の種類がちょっと違うというか…個人的には「刀でスパーンッ!」みたいな切れ味のある衝撃が好みなんですが、この方舟は「金属バットでフンッ!」みたいな衝撃でして。
そういう意味ではちょっと惜しい作品でしたが、確かにいろいろな賞を受賞する意味はめちゃくちゃ分かる作品でした。おすすめ。
あらすじ
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。
amazon作品紹介より引用
ルビンの壺が割れた
これは読んだほうがいい、一生ものです。
世の中のニワカ小説好きが『えっ?まだ読んでないの?』とか『これめっちゃオススメでぇ…』とかいう話題作『ルビンの壺が割れた』。
ページ数も多くなく、物語ではなくメールのやり取りを読むだけなので、普段小説や本を読まない人でもかなり読みやすい本ですね。
それでいてストーリーの展開がグルグル変わり、最後にはとんでもない衝撃が。
この衝撃を例えると「刀でスパーンッ!」とはまた違う…なんていうんだろう…これはぜひ読んで感じてください。
この本はたくさんの感想や考察がインターネットで溢れていますが、個人的な感想は・・・
ただただ怖い
です。ジャンルはホラーとかではないけど本気で怖かったですし、読み終わったのは寝る前だったんですが、すぐに眠れなかったです。心臓バクバクいっちゃって。
あらすじ
「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」
――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。
amazon作品紹介より引用
8の殺人
叙述トリック。いわゆる「どんでん返し」が好きな人には有名すぎる作品『殺戮にいたる病』の作者「我孫子武丸」。
『殺戮にいたる病』を読んだことある人には信じられないぐらいのコメディミステリ作品で、「警察官の兄」と「喫茶店のマスターの弟」と「好奇心旺盛な女子大生の妹」の三人が事件の真相に迫る「速水三兄弟シリーズ」の一冊目です。
『殺戮にいたる病』といえば、かなりグロいことでも有名ですが…同じ作者とは思えないほどのコメディミステリ作品。普通に笑えます。
8の殺人とは文字通り「8の形をした館での事件」です。
コメディなので衝撃度は薄めですが、中身はちゃんとミステリですし、読みやすさも抜群。
「小説読んだことないけど、何かオススメの本教えて!」と言われたら、ぜひ選びたい一冊ですね。
ただ読み終わった後に「おもしろかったから、同じ作者の別の作品読みたい!」といって『殺戮にいたる病』を手に取ったら…
殺戮してでも止めますけどね。
あらすじ
建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、2人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する。
amazon作品紹介より引用
六人の嘘つきな大学生
今年2024年を締めくくるように実写映画化された話題作。
主演は浜辺美波ちゃんということで、それがきっかけで原作を読んだ人も多そうな作品です。本屋さんにも特設スペースなんか作られていましたね。
かつて大学生だった人なら大多数の人が直面した「就職活動」。通称「就活」。
大学生にとっては魔の儀式ですね。『私、就活大好き!』なんて言っているやつ人生で見たことないですし、もしいたら『目を覚ませ!』って殴ってます。
そんな就活を舞台に積み重なる嘘、ウソ、USO・・・登場人物に対する心情が「これでもか!」と変わります。この本を読んでいるときの俺の情緒の不安定さと言ったら…
それでいてあの終わり方。話題になるのもうなずけます。
あらすじ
最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は「六人の中から一人の内定者を決める」こと。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
amazon作品紹介より引用
俺ではない炎上
近年、毎日のように騒がれる「炎上騒動」。誰かが不倫しただの、アルバイトでバカやっただの、『何やっても燃えんじゃねーねか』ってほど何やっても炎上している世の中です。
そんな「炎上」をテーマにしたサスペンス作品。
この小説のおもしろさは「リアルすぎる描写」。SNSで炎上している様子と、実際の事件に巻き込まれている加害者、被害者の行動。そして警察。
SNSの恐ろしさがまざまざと書かれています…この小説はSNSをする人全員に読ませるべき本ですよ、なんなら高校の教科書とかに載せたほうがいい。
炎上したことある方も、炎上させてしまったことがある人も、ぜひ。
ちなみにこれは先ほど紹介した『六人の嘘つきな大学生』の著者である「浅倉秋成」先生が2023年に書いたミステリ作品です。
個人的にはこっちのほうが背骨折れるほど前のめりで読みましたね。
浅倉先生はデビュー作の『ノワール・レヴナント』が面白すぎて、それを読んだ時からファンなんですが…おもしろさが止まらないですね。
この人はきっととんでもない作家になると思います。
あらすじ
ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。
amazon作品紹介より引用
おもしろいとかではないけど、ひたすら読みまくった小説
神様ゲーム
トータルで4周ぐらいしたんじゃないですかね、ちょっと読みすぎました。ただ先に言っておきたいんですが…
嫌いです。この小説。
小学生の子供たちと、ある日起きた不可解な事件。そしてそれに関係するのが小学生の神様。こんなジュブナイルミステリ(青春ミステリ)の雰囲気たっぷりのようにも見えるんですが…読み終わった瞬間の心情としては、
ちょっと待てこら
と言わざるを得ませんでした。まあそれが理由で何度も読み返すことになるんですがね…
そういう意味では「2024年に一番ハマった小説」、いや。「2024年に一番ハメられた小説」かもしれません。未読の方はぜひ。
一緒に『ちょっと待てこら』と言いましょう。
あらすじ
自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?
amazon作品紹介より引用
今回紹介した作品
小説カテゴリの人気記事はこちら
【これだ】小説「警部補 姫川玲子シリーズ」がおもしろい理由3選
【厳選】2023年に読んでおもしろかった小説TOP5|ネタバレなし