こんな方々のために書きました
- 小説「時計館の殺人」の上だけを読んだ
- 全部読んだけど他人の考察は気になる
- 上巻の内容をおさらいしたい
長編推理小説として人気の高い、作家 綾辻行人さんの著書「館シリーズ」。5つ目の作品が「時計館の殺人」です。
時計館の殺人はシリーズ初となる上下に分かれた作品です。(講談社文庫の新装改訂版)せっかく分かれているのであれば謎解きの推理に挑戦したくなる方もいるでしょう。
毎回毎回館の謎解きを島田清に任せておくわけにはいきません。ということで、なんの知識もの無い一般人ですが、下巻の推理してみました。
ということで、今回は「時計館の殺人」の上巻を読んでの考察です。素人の推理を温かい気持ちでご覧ください。
時計館の殺人(上) あらすじ
鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島・十角館の惨劇を知る江南孝明は、オカルト雑誌の”取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる!
出典:講談社文庫 作品内容より
時計館の殺人の考察
以降は上巻のネタバレ含みます。ご注意ください。
まずは上巻のストーリーを整理します。舞台は時計館の「旧館」と「新館」に分かれています。
旧館ではオカルト系雑誌「CHAOS」の特集のため、3日間の泊まり込みを行います。
- 小早川 茂郎(雑誌副編集長)
- 河南 孝明(新人編集者)
- 内海 篤志(カメラマン)
- 光明寺 美琴(霊能者)
- 瓜生 民佐男(大学生)
- 樫 早紀子(大学生)
- 河原崎 潤一(大学生)
- 渡辺 涼介(大学生)
- 新見 こずえ(大学生)
新館では時計館の当主、管理人、使用人など本来住んでいる者たち。そして島田清とW**大学の大学生が加わります。先代当主の残した謎のメッセージを解読するためです。
- 古俄 由季弥(時計館当主)
- 伊波 紗世子(時計館管理人)
- 田所 嘉明(使用人)
- 野々宮 泰斉(占い師)
- 鹿谷 門実(小説家)
- 福西 涼太(大学生)
そして上巻の終了時点ですでに亡くなっている方々がいます。実際に死んだ描写がある者もいれば、発見されていないためまだ正確にはわからない者もいます。
- 樫 早紀子(大学生殴られて死亡)
- 渡辺 涼介(大学生:殴られて死亡)
- 内海 篤志(カメラマン:殴られて死亡か?未発見)
- 光明寺 美琴(霊能力者:行方不明)
そして上巻終了時点で明らかになっている事実は以下の通りです。
- 雑誌の特集は霊能者の光明寺美琴が自ら持ち込んだ企画。
- 光明寺美琴は小早川と愛人関係。
- 過去に時計館に住む少女が大学生の作った穴に落下。それがきっかけで彼女は自殺。
- 穴を作ったのは現在大学生の瓜生、樫、河原崎、福西。
- 過去に自殺した時計館の看護婦、寺井明江。その妹が光明寺美琴。(本名は寺井光江)
それではここから気になったことを1つずつ考えていきたいと思います。
伊波さんがイヤホン(補聴器)をつけている理由
時計館の管理人として登場した伊波紗世子。彼女はイヤホンをつけています。
私はこれを盗聴器だと推測します。
その理由は彼女が発した『旧館にある時計コレクションに触らないでくれ』という言葉です。よって盗聴器が設置されているのは、旧館内のどれかの時計の1つということでしょう。
きっと彼女はある情報を得るために盗聴しているのだと思います。その情報とは「永遠お嬢様が落ちてしまった落とし穴を、誰が掘ったのか?」ということです。
それを知るために、霊能者の光明寺美琴と共謀し今回の特集に協力した。光明寺美琴としても、姉の自殺の原因となった落とし穴のことを知りたかったはずです。
彼女が霊能力者として発した「真っ暗な穴」「痛い」といったキーワードは、穴を掘った当人たちを思い出させるために言った言葉だと思います。
過去の死者数が多すぎる
時計館の過去には様々な事故や病気で多くの人が亡くなっています。常識的に考えても多いです。
これは「証拠隠滅」の可能性があるのではないでしょうか。何者かによる真実を隠そうとする行為ですね。
仮にこの想像が当たっている場合、怪しいのはやはり現在も生きている人物。そうなると長い間時計館に関わっている管理人の伊波さんではないでしょうか。
またこの考えを根本的に変えてしまいますが「死んだと見せかけて実は死んでない」という可能性もあります。特に気になるのが伊波さんのご主人「伊波裕作」です。まさか使用人の田所は実は「伊波裕作」なのでしょうか…?
伊波夫婦の娘の今日子も9歳という若さで亡くなっています。しかし詳しい状況は一切語られていません。
これがもし誰かの手によって殺されたのであれば…伊波夫婦が関わっている可能性は大いにあるかと。
由季弥に対する伊波さんの態度
少し異様ではないでしょうか?
管理人として当主に仕えるのはわかりますが、それにしても他人と関わらせることをひどく嫌がっているように見えます。伊波さんのいう言葉では「由季弥は姉の死のせいでショックを受け、今は自分の夢の世界だけで生きている」とのこと。
私の仮説としてはこれは伊波さんの嘘であり、実は由季弥は正常ではないのか、ということです。
『お姉さんはどこ?』という言葉も妄想ではなく、実際に姉に会っており、単純に場所を聞いているだけではないか、と。
しかし永遠の死が嘘だった、ということは現状考えられなそうです。となると可能性は一つ。誰かが永遠の代わりとして隠れて生活し、由季弥の前では永遠として生きている。
その可能性のある人物。年齢的にいって「伊波今日子」でしょう。
…あれ?しかし、それではさっき自分で言った「伊波夫妻が関わっている」ということが、全く違うということに…
樫、渡辺、内海が殺された理由
色々想像を働かしてきましたが、原点に戻り「落とし穴を掘った人を復讐する」という視点から考えた場合で考えてみます。
まずは大学生の樫。言動から常識のあるしっかりした女性だと思います。過去に永遠に会った際に時に自己紹介をしていた可能性は十分にあるでしょう。
例えば永遠が『今日ね、早紀子ちゃんという子に会ったんだよ』なんて会話をしていれば、【樫早紀子は落とし穴を作ったうちのひとり】として認識されていたと思います。
次に同じく大学生の渡辺。これは犯人の勘違いだったのではないでしょうか?彼はメガネをかけており、穴を掘ったとされるもうひとりの大学生 福西もメガネをかけています。
彼らが昔永遠を家まで送った際に、メガネをかけた少年がいた、と記憶していれば【穴を掘ったのはメガネをかけた人物】と認識されてしまい、それが渡辺だと勘違いしたのだと思います。
最後にカメラマンの内海。彼は落とし穴には関係ありません。よって復讐という意味ではなく「犯人にとって脅威になった」ということだと思います。
ということはきっと写真でしょう。内海は犯人にとっては「撮られたくないもの」をたまたま撮ってしまったのではないかと思います。
まとめ
小説「時計館の殺人」(上)を読んで感じた自分なりの推測を書いてみました。
ちなみに、犯人は誰だか全っ然わかっていません。
すでに結末を知っている方は『お!当たってる!』や『こいつダメだ…』という感想をお持ちだと思います。しかしこうやって考えている時が楽しい!という気持ちは同じように感じてくれているはず。
答え合わせと感想は、別の記事に書かせていただきましたので、是非ご覧ください。