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小説『ルパンの消息』感想|ルパン三世とは何の関係もない横山秀夫さんの名作

小説『ルパンの消息』感想|ルパン三世とは何の関係もない横山秀夫さんの名作
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本当に震えましたね。良すぎて。

高校生3人による15年前の出来事が、後の三億円事件と繋がる。そんな長編推理小説「ルパンの消息」を読みました。

こちらは「半落ち」や「64(ろくよん)」で有名な作家、横山秀夫さんのデビュー作です。

感想を一言で言うとしたら・・・

とにかくいい。素晴らしい。大好きです。静かに泣きました。

2008年に映画化(テレビドラマ化)もされた作品。

なおアニメの【ルパン三世】はなんの関係もありません。警察も出てきますが、とっつあんも出てきません。




『ルパンの消息』感想

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

手に取った理由は、そう。

ルパン三世が大好きなんですね、私は。

本屋で次に読む本を探していたさなか、ふと目に入った「ルパン」という文字。

「ルパンの消息」だって?次元とゴエモンが2人で探しに行くのかな?

・・・て思ったら全く関係ありませんでした。

ただ、逆に言えば、そんなきっかけでこんな作品に出会えて本当に感謝してます。ありがとう、モンキーパンチ先生。

ということでこの小説のもっとも良かった2つのことを語ります。

「橘宗一」の存在

この「ルパンの消息」はミステリー小説や警察小説として紹介されています。

しかしこれを読んだ人なら『これは一種の恋愛小説ではないか?』と感じた方いると思います。そのぐらい濃い恋愛模様。

それは登場人物の1人、「橘宗一」の存在。

彼は熱すぎた。彼の存在がこの小説でもっとも重要でした。

普段はクールに装い、頭もきれる。しかし心の中には熱いものを持つ青年。

恋人が年上で大人であろうと絶対に自分がお金を出すという姿勢。好きな女性のためにすべてを捨てる覚悟も持つ・・・

そして急にいなくなってしまったその恋人の辛さをずっと心にしまい続け、世間からも孤立した存在に。

そんな橘がかつての恋人を見て、遂に口にした言葉。

『どうしようもなく好きで』

こんな言葉、言ってみたいですよね。

言われてみたい、じゃない、言ってみたい。

それぐらい人を好きになるなって、まあなかなか難しいことですから。

そしてその橘に対する鮎美先生の言葉も愛が詰まっていました。

彼女の言った『一生懸命バイトして、大切にしてくれる気持ちがホント嬉しかった。』というセリフは橘の愛がしっかり伝わっていた証拠です。

橘のことを読んで、自分の学生時代の恋愛を思い出しました。

人を好きになると、そのことだけを考えてしまう。

「この後あの子に会える」とわかっているときのバイトでの動きは、時給850円の動きじゃなかったですからね。

3年目の正社員ぐらい動けていましたからね。

過去の事件に関しては結果的に2人とも殺していなかったので、数年前に時効が成立していました。

よって橘宗一と鮎美先生は何のお咎めも無く釈放ということになりました。

その後の2人に関しては本では書かれていません。罪を犯したかもしれませんが、橘もまだ年齢は30歳を少し過ぎた程度です。まだまだ全然やり直せます。

彼は人生の目的を見つければ絶対に何でもできる男だと思います。

橘くん、鮎美先生。2人で絶対に幸せになってほしいですね。

男子高校生

「男子高校生」が話の主役だったことが非常に良かったです。

学生時代は不良で、大人になってから平凡に生きているリアルな30代の描かれ方も見事だと思います。

過去にいろいろ濃い経験をしてるからこそ、より大人の平凡さにモヤモヤしたりするんですよね。

肝心のミステリーの部分に関しては、舞子先生の謎や真犯人の登場は確かに驚きました。

しかし登場人物の魅力が強すぎて、事件そのものにあまり関心が持てなかったのは事実です。そのぐらい素晴らしいキャラ設定でした。

最後になりますが、殺されてしまった舞子先生。

突き飛ばされて頭打ちつけて、

そのあと金庫に押し込まれて、

その後2階から突き落とされて、

さらにその後また屋上から突き落とされて…

「トムとジェリー」かな?。

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