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逆に伏線しかない…かなりズルい小説『フラッガーの方程式』|感想

逆に伏線しかない…かなりズルい小説『フラッガーの方程式』|感想
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この小説、ズルいです。

この本の帯に「え?!これも伏線!?」と書いてありましたが・・・

「これも」というか全部です。

浅倉秋成さんの小説『フラッガーの方程式』。

浅倉秋成さんと言えば「伏線の狙撃手」と呼ばれるほど巧みなストーリーラインが人気ですね。

わたしも何度も浅倉さんの伏線の罠にかかり、戦場だったら「頭200回ぐらい撃ち抜かれてるんじゃないか?」ってぐらい伏線の狙撃手「浅倉秋成」のえじきになっています。

そして今作の『フラッガーの方程式』。

伏線の狙撃手に撃たれないように気をつけながら読み進めましたが・・・

こんなの撃たれるに決まってるだろ。


『フラッガーの方程式』ネタバレありで感想

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

いや、この小説はある意味ズルいんですよ。

さっきもお伝えしたように「え?!これも伏線!?」という驚きが本の中のあらゆるところに散りばめられている作品です。

でもそれもそのはずで。

ストーリーがフラッガーシステムという「ご都合主義の世界」でのお話なので、すべてご都合主義で進行します。

なので「ツッコんだら負け」な小説なんですね。そんなうまくいくか!って言いたいけど「そういう世界」だから。

ちなみに私はこの本を読むまで「フラグを立てる」の意味をイマイチ理解してなかった人間です。

フラグを立てる…とは

フラグは、日本語で「旗」の意味を持つ「flag」の言葉が語源。主にゲームやアニメ、物語の文脈で使われる表現で、特定のイベントや展開が起こる前兆となる行動や状況。

映画やマンガでなんかで、戦いシーンの前に『この戦いが終わったら結婚しよう』とかいうキャラはたいてい死んでしまう、というのもフラグですね。

そんな「フラグ」通りの話が進んでいくので、それはまあ「すべて伏線」になっていきます。

それはどんな斬新な展開でも「まあそういう世界だもんな」になってしまうワケです。

が、しかし。

そんなズルい世界でも面白くしてくれるのが浅倉秋成さん。

伏線の狙撃手の異名は伊達じゃありません。伏線の回収劇はとんでもなく、散らした伏線をダイソンのごとく拾っていきます。

「終盤からラストまで、伏線の吸引力が変わらない、ただひとつの浅倉秋成」です。

また、「全編ギャグテイスト」というところも読みやすかったです。

主人公がツッコミ気質なので、バンバンツッコみます。それゆえに周りのキャラもガンガンボケます。なので読んでいてテンポはよく、全体的に軽いノリの小説でしたね。

小説読んだことない方や、本を読みたいけど難しい本は苦手!って方にはおススメの本だと思いました。

この小説でノレなかったところ

ただね、なげぇんですよ。

ギャグのやり取りがほぼ全編にわたって繰り広げられるので、正直にいって飽きます。

ギャグの内容はおもしろいんですが、さすがに多すぎました。

どんなにおもしろい漫才でも、同じ芸人さんに30分も漫才されたら見ているほうも飽きるじゃないですか。

こっちから『もういいよ』って言いたくなるじゃないですか。

まさにそんな感じの小説です。

これはオジサンにはなかなかキツイんですね。

これが短編集だったり、1つのセクションだけだったりすれば楽しかったんですが…

途中の「魔法研究会」に入部した辺りの話は、泡を噴きながら必死で読んでいました。

他の方のレビューを見ると、いわゆる「深夜アニメ」のノリなんだそうです。

私が深夜にアニメを見るときは現実逃避のためのキテレツ大百科だけなので。ちょっとそのノリはわからないのですが・・・

なので逆に考えれば、

この『フラッガーの方程式』が面白かった人は「深夜アニメ」も楽しめるんじゃないかな、と思うナリ。

なお、若い方からすれば「オジサンが高校生の恋愛ドタバタコメディなんぞ読んでんじゃねぇ」ってお叱りを受けそうですが・・・

オジサンだって甘酸っぱい恋がしてぇんですよ。


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