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【レビュー】小説「イニシエーションラブ」を読んだ感想|ネタバレあり

ブックレビュー読書感想文
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このページに書いてあること

乾くるみさんの小説「イニシエーションラブ」を読んだ読書感想文です。

静岡と東京を舞台に、A面とB面の2つに分かれて進む恋愛ストーリー。

どんでん返し系のオススメ小説を検索すると必ず出てくる作品でしたが、完全に納得。ところどころ引っかかっていた違和感が最後に大爆発した感じです。

マジであの純情な気持ちを返してほしい。

全ての意味を理解したあとに出てきた言葉はこれでした。おすすめされる理由がわかります。

イニシエーションラブのレビュー感想

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

大切なことなのでもう一度言います。本当にあの気持ちを返してほしい。

「たっくんとマユちゃんが幸せにならないんだったら、俺はこの本を窓からぶん投げよう」と思ったぐらい二人を応援していたのに、この小説の意味を理解できた瞬間、

違う意味で本をぶん投げたくなりました。

読み出して最初の方は「恋愛っていいな」と本気で感じていたんです。

経験したことある人ならわかる、あの恋愛の甘酸っぱさがめちゃくちゃ伝わってきました。

それと同時に「あんな初々しい恋愛はもうできないんだろうな」という寂しさや羨ましさを感じ、少し体調を崩しました。 あやうく早退するところでした。

それほど作品に気持ちが入り込んでいたし、自分も恋愛したいと思うほどの恋愛小説だなぁと思っていたのにまさかこんな展開が来るとは…

「この感情をどこに持ってったらいいの?」とホワホワした気持ちで今これを書いてます。

ところで、みなさんは読み終わった瞬間に理解できましたか?

多分この小説を読み終わってすぐに理解できる人ってほとんどいないはず。最後のどんでん返しはすごい。すごすぎる。



ちなみに自分はこんな感じで理解するまでに色々遠回りしました。

辰也?これはたっくんではない?でもご両親に鈴木って呼ばれているし…たっくんは二重人格だったのか?

いや!でもそれだとおかしなところも多いな…あれ?そういえば海藤(会社の同期)の下の名前って「辰也」とかだった?

いや!でもマユちゃんとの思い出話を話しているし、おかしいな。もしかして海藤はマユちゃんと隠れて付き合ってた?(この時、海堂に猛烈な怒りを感じる)

というように、勝手に海藤に対してイライラしつつも、読み返して見ると海藤の下の名前は出てこず彼ではないという結果に。心の中で海藤に謝罪しました。

ということはやはり、この辰也はA面のたっくんとは別人だと気づきます。そしてふと、これズレている展開なのでは?と考えました。

つまり小説の時系列はB面→A面に進んでいて、B面はマユちゃんの過去の話なのではないかと。

すると一気に切なさが込み上げてくるんですよ。A面の真っ直ぐなたっくんに対し、実はマユちゃんが元カレ(B面のたっくん)を忘れられなくて、元カレと同じあだ名をつけたのかと。ああああ、そりゃないよ、マユちゃん…

だって夕樹(ゆうき)という名前の人に「たっくん」ってあだ名は無いでしょう。『夕方の夕って、カタカナのタと同じに見えるからたっくんってどう?』じゃないんですよ。

本気でその感性なら歯科衛生士を辞めて芸術関係に進んだ方がいい。

そしてとにかくB面に入ってからはイライラしっぱなし。メーター振り切ってました。

酒を飲んで暴れ出す低俗さも、自分の言葉には責任を持つだのごちゃごちゃ言うくせにしっかり浮気して二股かけていたところも、何より女性に手を上げることも。そして、そんなやつに彼女いると知ってても色目使ってくる女も。

もうマユちゃんが可哀想すぎて。天使のようなマユちゃん。かわいそうに。




そしたらA面とB面は「同時進行だった」というオチです。

マユちゃんもしっかり二股していた、という展開。

しかも呼び方を間違えないように2人とも「たっくん」と呼ぶ徹底ぶり。Where is 天使のマユちゃん…

結果的にお互い二股していたという救いようない2人でしたが 、それでもこのタイトルにある「イニシエーションラブ」は確かにあると自分は思っています。

イニシエーションラブを乗り越えて成長した人は世の中にたくさんいるし、こういう経験があるからこそ本当の愛を見つけられる人になれます。

だからこそ2人のたっくんの終わり方が印象的でした。そしてそれに対するマユちゃんも。

最終的にはA面のたっくんは幸せの絶頂で終わってるんですよね。そしてB面のたっくんはマユちゃんに対して少し未練があるように終わってます。

ここからは憶測なんですが…マユちゃんはどうにでも動ける女の子だと思うんですよ。

もしB面のたっくんが『マユ、ごめん。やり直そう』と言ったらやり直すし、その時はA面のたっくんを簡単に捨てる気すらするのです。というかマユちゃん、実は他にも別の「たっくん」とかいない?

そういう意味ではこの小説はモテない男に読ましちゃいけない小説ですよ。恋愛したいと思う人が減りますよ。

ただ、それも考えすぎかもしれません。

マユちゃんはB面のたっくんにルビーの指輪を返してるんですよね。

ということはもうB面のたっくんのことは完璧に振り切ったということかも?マユちゃんはA面のたっくんと幸せに暮らしていくと決めたのかも?

本当に?信じていいの?やばい、人間不信になってる。

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