だれか酔い止め持ってます?
終始、著者の浅倉秋成さんの手のひらで転がされ続けて吐きそうになった小説「六人の嘘つきな大学生」を読みました。
「六人の中から一人の内定者を決める」。そんな最終選考の場に現れた封筒の中身とは?
デスゲームみたいな展開かと思いきや、デスゲームではない。
しかし恐ろしさはデスゲーム並みという、とんでもない新感覚青春小説。
では読んだ感想を…ぐごぼうぉえ!!!
『六人の嘘つきな大学生』感想
このクソガキども。
社会という荒波に揉まれまくったおじさんからしたら、これ以外の感想は出ないですよね。
最初は立派な青年たちだと思ったんですよね。
特にみんなのギスギスした雰囲気を「うまい棒」で柔らかくした袴田くん。
そういう行動は社会でも大切なスキルの1つですから。というか一番大事だったりしますからね。
他の子たちもみんないい子ですし。お互いに足りない部分を補っていて素敵ですよ。
こんな立派な学生を見ていると嫉妬すら覚えますからね。
きっと未来に希望しかないんだろうな。『これが若さか…』って言っちゃおうかな。
そんな気がしてくるくらい眩しかったんですが・・・
このクソガキども。
君たちいい加減にしなさいよ、と。世の中舐めるんじゃないよ、と。
もう噓ばっかりです。
いや、嘘がダメとは言えませんよ。確かに社会に出たら「嘘」をつくこともあるでしょう。
私なんて嘘ばっかりですからね。この間なんて体調悪いって嘘ついて会社休んで、近くの土手でマック食べて寝っ転がってましたからね。ダメですよ、こんな社会人になっちゃ。
と言いつつ、やはりこいつらは良くない。
特にイジメで自殺に追い込んだという袴田くん。いや、袴田。
君、それは絶対にやってはいけないことだからね。しかも死んだ相手のことをクズ呼ばわりして。悪魔かな?
そして妊娠した恋人を中絶させた九賀くん。そこに愛はあったのか?
あるとないで全然話変わってきますからね。
そしてその後も詐欺グループの一員だったとか、障害者用の駐車エリアに車停めるとか、詐欺にあった人に対して自業自得とか…
なんですかこの話は。
クソガキどもの嫌なところを集めたクソガキコレクターズエディション。
全部集めたらとんでもない「クソ」ができちゃうディアゴスティーニかな?
とか思いながらイライラしてたんですけどね・・・
と思ったらまさか「みんな素晴らしい人たちだった」というね。
本当のクソは私でした、クソディアゴスティーニ創刊号でした。
人事経験
まあそんなクソな私ですが、以前人事部に在籍していたことがあります。
主に採用面接の試験官だったのですがわかるのですが・・・
面接で人間性なんて見極められませんよ。普通に。
数十分で人間を見極めるなんて無理だし、面接受ける側も「良い顔しようとしてる」し、面接する側も「良い顔しようとしてる」し。
ただ1つ言わせてもらえば、「あ、この人は絶対にダメだ」って人は見分けられるようになります。
面接中にいきなり「シュルっ!」てネクタイを外したツワモノもいましたからね。
意味わからないじゃないですか。
なので採用担当者ができることは「書類上の問題はないし人としてもダメじゃない人」を選ぶことぐらいな気がします。
考察
あの6つの封筒は、スピラリンクスが用意したものだと思っていました。
とんでもないドS企業だったんじゃないか、と思ったわけです。
なぜなら波多野くんが「自分が犯人だった」と言い、ディスカッションルームを出た後のシーンで・・・
鴻上さんは去り際の僕に何か言おうとしたが、開いた口をすぐに閉じてしまった。よくもグループディスカッションをめちゃくちゃにしてくれたな─罵られても不思議ではないと予感していたのだが、鴻上さんさんはついに何を言うこともできなかった。
浅倉秋成 著「六人の嘘つきな大学生」角川文庫
波多野くんは怒られると思っていたようですが、ホントに面接を台無しにしたなら企業側は怒るでしょう。
逆に怒らないってことは企業側も理解しているから。つまり自分たちが仕掛けたからだと
思ったのです。
・・・なんて思っていたのに結局また騙されてますからね。最後の最後までずーっと手のひらで転がされ続け…もうホント吐きそうです。
浅倉先生の作品はいつもこうです。
気になる方は下の記事も…
ぐごぼうぉえ!!!
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