このページに書いてあること
道尾秀介さんの小説「向日葵の咲かない夏」を読んだ読書感想文です。
想像できない展開が続く摩訶不思議小説。
「俺は何を読まされてるのか…」
とモヤモヤしたまま読み進めていくと次第に明らかになっていくとんでもない設定。
俺は「はー!なるほどっ!」とか「うわー!騙されたー!」とか言いたかったのに、言わされたのは「は?どうゆうこと?」でした。
ちなみに小説は「つまらない」訳ではないです。ただ、できることなら、
伊東四朗にモヤッとボール投げまくりたいです。
小説「向日葵の咲かない夏」レビュー感想
何を読まされてるんだ俺は ─
ずっとこんな感じで小説を読むのは初めてかもしれない。
話自体はおもしろくないわけではないけど、世界に入っていけない。そしてとにかく気持ちが悪い話。
いきなり序盤から動物の無惨な死。小学生のいじめ。そしてその少年S君の自殺。
その時点で「あー読みたくねぇ」と思いましたが、そこから急に死体が消えて、その死んだS君は…蜘蛛になる。
え?蜘蛛に…なる?
そうなるといわゆる「ファンタジー」のくくりかと思うじゃないですか。蜘蛛になった少年と大冒険が始まるとか、そういった流れになるかと思いきや。
全くそんな爽やかさがない。母親は狂ってるし、教師は小児性愛者だし。
で、ここでも「なんか読みたくねぇな…」と思いながらも読んでいると、主人公のミチオくんもなんかおかしい。3歳の妹ミカちゃんのベッドに潜り込み、ミカちゃんの指を口に入れて頬張る…
ゆ、指を…ほ、頬張る??
もうみんなおかしいんじゃねーか?これは。というかミカちゃんですら3才にしてはよく喋る。なんか全体的に気持ち悪い。
全員やばそうだな…と思っていたら案の定!
ミチオくんは普通に蜘蛛のS君を殺し、ミカちゃんの口の中に。それを嬉しそうに口を開けて食べちゃうミカちゃん。
いや、ちょっと待って。
なんで3歳の女の子が蜘蛛を美味しそうに食べちゃうんだよ。しかもさっきまで仲良くおしゃべりしていたS君だよ?
これ、登場人物にまともなヤツいない。気づいていたけど再確認。
もうこんな展開になったら予想とかできないので、起こる展開を受け入れていくしかない…覚悟を入れる。しかしそんな覚悟もすぐに意味なくなる。
なぜならその後の展開も訳わからない。
つまり「何を読まされてるんだ俺は」感がハンパないんです。
そして動物の死に関わっていたのが近所の爺さん。殺された動物たちの足が折られていた理由は…爺さんが「死体の足を折りたい」って願望を持っていたから。
いや、特殊すぎるだろ。
過去の出来事がトラウマのようになっていたそうだけど、それを踏まえてもそんな願望持ってるやつ…いる?まあ、いるんでしょうね。
この話、どうやって終わりに持っていくのかな?と読み進めると、ミチオくんが家に火をつけて自殺を試みる。しかし両親のおかげで結果的に助かり、母親も元に戻る。
…と思いきやそれはミチオくんの想像で、その火事でミチオくん以外は全員死んでいるというオチ。
怖いとか切ないとか…そういうの全部通り越して言いたい。
それでいいのか?誰も救われないけど、それでいいのか?まあ、いいんでしょうね。
ただ読んでる側としてはモヤモヤしっぱなしで、それは終わってもモヤモヤのまま。
伊東四朗にモヤッとボールを箱ごとぶん投げまくりたいです。
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