本の表紙がかわいいので手に取ってみましたが、本の中もしっかりかわいい。
それが小説『万能鑑定士Qの事件簿 1』です。
まあこの時点でちょっとズルいですよね。「かわいい女の子が主人公のミステリかな」と期待してしまうオジサンたちを狙い撃ちしている感じがヒシヒシと伝わってきます。
そしてそのオジサンの一人として言わせてもらえば、見事に撃たれましたよ。頭に風穴があきました。
ただし、小説の感想として言わせてもらうとしたら・・・
凛田莉子さん、ズルくない?
万能鑑定士Qの事件簿 I あらすじ
東京23区を侵食していく不気味な”力士シール”。誰が、何のために貼ったのか?謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凛田莉子、23歳――瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!
出典:角川書店 作品内容より
『万能鑑定士Q』はシリーズでして、その1作目ということで頭脳派ヒロイン「凛田莉子」の登場がメインの一冊でしたね。
莉子が万能鑑定士になるまでの経緯とか、実際に莉子の力を使って事件を解決していく様はおもしろいんです。
高校時代は全然勉強できなかった天然の女の子とかね、かわいらしいじゃないですか。文房具とかプレゼントしたくなっちゃうじゃないですか。
で、あることがきっかけで彼女の才能が開花して、とんでもない観察眼と知識を持つとか、その辺も「万能探偵!」って感じでよかったんです。
ただね。
凛田莉子さん、ちょっと頭良すぎじゃないですかね。
いや物事には限度ってもんがあると思うんですが、もう莉子さん一冊目から飛びぬけちゃってるんですよ。
彼女の場合、頭がいいというよりは「知識力が半端ない」「記憶力がよすぎる」といった感じですが、なんにせよ「無理やり感」を感じました。
彼女の観察眼がすごい、というのであれば「鑑定に関して超一流の知識と目利きがある」っていうのは納得できます。
『機械でも見落としてしまうところを…私は逃さない!』っていうのであればシンプルに「すごい」となるのですが・・・
彼女は「輸入で引っかかるバナナの色」とか「過去に販売されたペンの形」まで知ってるんですよね。そんなこと普通「輸入品チェックする人」と「文房具店の店主」ぐらいですよ、知っているのは。
でも彼女は知っている・・・なぜって?
本を読んだことあるから。
そしてこれは「音」に関しても一緒で、事件解決の糸口になった音に関する知識も知っている・・・なぜって?
本を読んだことあるから。
これちょっとズルくないですか?もうChatGPTじゃないですか。
それに、その答えにたどり着くのが「本に書いてあった」だと何も流れもなく、一気にゴールなんですよね。これもちょっとなぁと。
やっぱりハラハラしたいし、『なるほどね!』って言いたいんです。
「本に書いてあったから」だとその辺を全てすっ飛ばしてるようで・・・おもしろくなかったです。
あとちょっと言いたいんですけど。
週刊誌記者の小笠原。
こいつ必要あります?
かなり中途半端というか、いてもいなくてもいいようなキャラクターでした。
別に「仕事ができないダメキャラ」っていうわけでもない。かといって「実は記者としてとんでもない力を持っている」とかでもない。
凛田莉子を際立たせるために、あえて特徴のない普通のキャラにしたのかもしれませんが、とにかく嫌いでした。
まあ、これには「凛田莉子と仲良くしてたので許せない」という嫉妬も含まれてるんですけどね。
だって凛田莉子の天然でかわいいところは男ならみんな好きですし、「猫のように大きくつぶらな瞳」って言われてトキメかない男はいないですし、モデルのようなスタイルって。
やっぱりズルいですよ。こんなもん数え役満ですよ。
もうこのシリーズを読むとしたら「凛田莉子のことをもっと知りたいから」ってことになっちゃいそうですね。そして読んでるうちにファンになっちゃいそうです。
とりあえず小笠原くんは出直してきてください。
万能鑑定士Qの事件簿 2も読みました
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