このページに書いてあること
浅倉秋成さんの小説「教室が、ひとりになるまで」を読んで書いた読書感想文です。
ある高校で起きた生徒の連続自殺。絶対に自殺なんてするように見えなかった生徒たちが次々と…
不思議な力と謎が詰まった学園ミステリー小説・・・
「教室が、ひとりになるまで」
天才の考えることはわからん・・・そう言いたくなる超奇抜な設定と、事件解明までのトリック。
何食ってればこんな設定思いつくのでしょうか?教えてください、浅倉先生。
小説「教室が、ひとりになるまで」感想レビュー
もう思いついたもん勝ちですね。
この小説のおもしろさは「生徒たちに与えられた能力」とそれを使った「ミステリーの謎解き」。
特殊能力が出てきちゃうので、リアルさで言ったら全然リアルじゃないフィクションなんです。
しかしそこに学園モノを絡ませることで、ありそうでなさそうな…変な気持ちになってくる。
これはきっと自分も経験したことがある「学生時代」の記憶がリンクしているからでしょうね。
浅倉先生の作品で大好きなのが、同じように高校生が特殊能力を持つ長編小説「ノワール・レヴナント (角川文庫)」なんですが、
そういう意味ではすごく似ています。ただ、「教室が、ひとりになるまで」の方がダークでしたね。
これは好みの問題になりますが、ノワール・レヴナント (角川文庫)の方が好きでした。
「教室が、ひとりになるまで」は生徒を自殺させる能力を持った存在がいて、それが誰かを見つけるストーリー。ミステリー要素が強かったんですね。
ただ、特殊能力が出てきてる時点で、こちらの推理がしずらいので、ミステリー小説としては楽しみにくい作品だったな、と。
また、結末にあった事件の発端。
ある少女が「偽りの友人関係」に疑問を抱いて自殺。
まじか、と。そんなことで自殺するのか、と。
人によって人生のどこに重きを置いているかはわかりませんが、あまりに共感できない理由での自殺に面食らいましたね。
そして個人的に印象深かったのが、「他人が自分に好意を持っているかわかる能力」を持つ八重樫のセリフ。
みんなと過ごすのが嫌だったら、それを一言『嫌だ』と言えば良かった話なんだ。それが難しいって言いたいのは、わかる。
でも、それができないだけで、被害者面すんのは、明らかに間違ってると思うんだわ。それはお前たちが乗り越えるべき『壁』だろうが。
浅倉 秋成. 教室が、ひとりになるまで
これには1000%同意です。
多数派の意見や考え方に賛同できないことは、決して悪いことではないですね。
しかし、だからと言って「自分はこいつらに被害を受けている」と感じて、報復するのは間違っていると思います。
日本では「少数派にいることが苦しい」と感じさせる独特の空気があるのも確かです。「嫌だ」と言ったらいじめられるかも?と不安になる子もいるはずです。
特に中学、高校はその空気がより顕著ですからね。自分の高校時代にもありました。
大きな枠組みで捉えるとしたら、日本特有の同調圧力が引き起こした事件なのかもしれませんね。
とはまあ言ってみても・・・
誰が悪いって殺したあの女の子が全部悪いんですけどね。
「教室が、ひとりになるまで」は文庫本&電子書籍で
浅倉秋成さんの「教室が、ひとりになるまで」は文庫本の他に電子書籍でも読むことができます。
他にもおすすめ小説の紹介や、感想を書いています。お時間ある方はぜひ読んでくださいね。
浅倉秋成さんの作品に関する読書感想文はこちら
小説カテゴリーの人気記事はこちら
【3選】迷ったらこれ!絶対に騙されるオススメどんでん返し系小説|ネタバレなし
そんな夫はもう一回◯してしまえ。小説「殺した夫が帰ってきました」感想