天才建築家の中村青司が建てたとされる館で凄惨な事件が起こる、というミステリー小説シリーズ。
第6弾となる作品は「黒猫館の殺人」です。
感想を一言でまとめるとしたら、
今回も完璧にやられました。すごい叙述トリックでした…が、何かと気になる点があり過ぎました。
今回もかなりトリッキーなストーリーで、まんまと騙されましたが…言いたいことは結構あります。
でらの評価 | |
---|---|
読みやすさ | (2.5) |
衝撃度 | (3.5) |
トリック | (4.0) |
おすすめ度 | (3.5) |
黒猫館の殺人 あらすじ
自分が何者なのか調べてほしい。記憶を失った老人の依頼が推理作家鹿谷門実のもとに舞い込んだ。唯一の手がかりは彼が自ら書いたと思われる「手記」。そこには「黒猫館」で彼が遭遇した奇怪な事件の顛末(てんまつ)が綴られていた。舞台は東京から札幌、阿寒へ……。探求の果てに明らかとなる世界が揺らぐような真実とは!?
出典:講談社文庫 内容紹介より
ネタバレありの感想
今回は「館」自体というわけではなく「館の存在」自体が大きなトリックになっていました。これは驚きました。
まさか話の舞台が日本の阿寒ではなくオーストラリアだったとは…
とんでもないどんでん返しで、明らかになった時は『や、やられた…!』と声が出たとか出ないとか。
しかし悔しいので読みかえすと、彼らの会話で『東京の冬は~』という会話が出てきます。
ここちょっとツッコミたいんですが・・・
海外に行った際は普通『日本の冬は~』と言いません?
『おかしいだろ!』って言いたいんですが、よくよく考えると、相手が日本人だったら確かに『東京の冬は~』と言いますね。やはり完敗ですね。。。
ただしストーリー自体には読んでいて色々引っかかりました。
特に鮎田さんの手記に書かれていたことです。
特に気になったのは2つ。
「若者たちのドラッグ」
「鮎田さんの料理」
に関するところです。
若者たちのドラッグ
まずドラッグに関して。
なぜそんな簡単に手に入れることができるのか?
私はドラッグ事情はよくわかりませんが、そんな簡単に手に入るのか。まずここで違和感が頭をよぎります。
そしてそのドラッグをすんなり受け入れる女性の登場。
いいのでしょうか?そんな簡単にドラッグ使っちゃうんですか?
鮎田さんの料理
料理が得意ではないと話す鮎田さん。
統計的に見ても料理の苦手な男性のほうが多い、というイメージがあります。なのでそれは気になりません。
しかし鮎田さんは館に宿泊する若者たちに料理を出します。その肉が「ラム」なのです。
しかも料理が苦手と言っていながら彼らに『お口に合いませんか…?』と聞きます。
さも『結構いけるでしょ?』と言わんばかりに。違和感たっぷりです。
そうゆうときはカレーでいいんですよ。カレーで。
大きすぎる違和感でしたが、これらは私が日本の北海道をイメージしていたから、ということでした。これが海外での出来事となればこの違和感は払しょくされます。
このトリック、見事に引っかかりましたね。
そして今回の大きな謎の1つ。
それが鮎田冬馬と天羽辰也は同一人物であった、という事実。
これは本の中で明らかになる前に私も気づくことができました。きっと推理小説が好きな方なら皆さん気づいていたと思います。
勘の鋭い方なら、「名前をアルファベットに置き換えて逆から読む」という方法ですぐに分かった方もいそうです。
AYUTA TOMA(あゆた とうま)
↓
AMO TATUYA(あもう たつや)
ただそれ以前に明らかに違和感はありました。鮎田冬馬と天羽 辰也。なんだかかっこ良すぎませんかね、名前。
天羽辰也とか・・・どっかのホストクラブかよっていう。
そして今回のヒントの1つであった童話「アリス」のネタ。
恥ずかしながら鏡の国のアリスは読んだことも見たこともなく、何も知識がありませんでした。
きっとこれを知ってればさらに楽しめははずでしょう。
そう思うと「もったいなかった」と思います。
「黒猫館の殺人」は電子書籍でも読めます
綾辻行人さんの小説「黒猫館の殺人」は、紙の書籍のほか、各種電子書籍でも読めます。
AmazonのKindle Unlimited 読み放題を30日間無料体験
他にも「館シリーズ」の感想や、おすすめ小説をまとめた記事もあります。
館シリーズ 読書感想文はこちら
小説カテゴリーの人気記事はこちら
【3選】迷ったらこれ!絶対に騙されるオススメどんでん返し系小説|ネタバレなし
そんな夫はもう一回◯してしまえ。小説「殺した夫が帰ってきました」感想