こんな小説には初めて出会いました。
「十角館の殺人」「水車館の殺人」と続く「館シリーズ」3作品目、
「迷路館の殺人」
一言で感想を述べるとしたら・・・という前に。
まずこの本読んでない人は、全力で「戻るボタン」を押し、今すぐAmazonに行って「購入ボタン」を全力で押しましょう。
ポイントとか気にしている場合じゃありません。
そして全力で読んでください。
「迷路館の殺人」感想
超衝撃的。
あの衝撃は今でも忘れられません。
この小説を読んでいたのは通勤電車の中でした。これ以上ない衝撃を受けた、という感じでしょうか。
隣に立ってたオジサンにいきなりキスされても、この時ばかりは驚かなかったでしょうね。
まあ周りの人はオジサンがオジサンにキスしてるシーンを見て、衝撃で気絶するかもしれませんが。
作品の中の内容というよりは「この本自体」といいますか。とにかくこの小説の作り方に驚愕です。騙され続けました。
それは「本の中に本が書かれている」という構成。
いわゆる「作中作」というものです。
恥ずかしながら「作中作」という存在自体を知らなかったので、同じように知らない方にも共有できるようまとめますと…
作中作とは、作品のなかに登場する別の作品。例えば、アニメ「クレヨンしんちゃん」の中に登場する「アクション仮面」は作中作となる。
これが本当にうまく作られています。
本の途中で事件が解決すると、まるで文庫本の最後のページのようにあとがきや出版社の名前まで登場しましたからね。
マジで普通に印刷ミスだと思いました。
ページまだ余ってますよ、と。本当にそう思いました。そのぐらい違和感のない作り方なのです。
読み終わってから目次を見返すと確かに以下のように書かれています。
- プロローグ
- 『迷路館の殺人』鹿谷門実
- エピローグ
この時点で『オラ、わかったゾ!これ作中作だ』と気づけた方は天才か、
もしくはクレヨンしんちゃんです。
「迷路館の殺人」読者の推理
さて、推理小説を読んでいるとどうしてもやってしまう「読者の推理」。
前作の「水車館の殺人」同様、私が感じたことや推理した内容を少しだけ紹介します。
犯人は井野ではないか?
この事件の犯人は、宮垣の秘書の「井野満男」だと思っていました。
つまり宮垣先生の死に関してはまったく疑っていませんでした。
いくら病院の先生がいるとはいえ、メイクぐらいで死んだフリは難しいのではないかと思ったのが理由です。
そして井野が犯人だと思った理由は、彼が宮垣先生のゴーストライターだった。
そして鹿谷角実は井野満男だ、と思ったからです。
自身の作品で地位を築いた宮垣を恨み、彼の凄さに気づかない弟子たちも恨んでいた、と仮説を立てました。
「年齢の割にしっかりしている」という描写もあり、彼には何かあると睨んだわけです。
結果は全く当たってなかったですがね。
同じ推理をしていた人がいたら、ぜひとも慰めあいたいですね。
首を切った理由
まずは1人目の犠牲者が出た際に、首を中途半端に切った理由です。
これは私も「血を隠すためではないか?」と考えていました。
作中では鼻から出血がないかなど調べていましたが、その検査の後引っかかったことがあります。
それは「女性陣のアソコはなぜ調べないのか?」ということです。
いや、もちろんセクハラ的な意味合いではなくてですね。
今回は登場人物の中に妊婦さんもいました。
妊婦さんだから「血が出やすい」とか思っているわけではないですが、女性的な観点から誰も指摘しないのは明らかに不自然です。
結果的にこれは「鮫嶋先生の性別のカモフラージュのため」だったということだと思います。
もしここで【女性陣がお互いにトイレで確認しあう】ということになってしまうと、そこで鮫嶋先生の性別がバレてしまいます。
きっと多くの読者が「鮫島さん=男性」だとミスリードされていたため、【妊婦さんたちと鮫島さんがトイレに入っていきました】ツッコミが入ってしまいますから。
それにしても先入観というのは怖いものですね。鮫嶋先生が女性だったとは…
これは苗字のせいも大きいですよね。鮫とか強そうだし笑い方も絶対『シャハハハハ!』じゃないですか。
読書歴が浅かったことにより、作中作も知らなかったことから、本当にとんでもない衝撃を与えてくれましたね、綾辻行人さんは。
こんな衝撃を超えることはなかなか無さそうです。
でもよくよく考えてみたら・・・
知らないオジサンがキスしてくるほうがとんでもない衝撃ですけどね。
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