いや、なげぇ、なげぇ。
浮世絵の説明、なげぇ。
『写楽殺人事件』を読んだんですが、大いに戸惑いました。
というかちょっとキレました。
いわゆる「ミステリ推理パート」はおもしろいのに、そこに行くまでの「写楽って誰なんだろパート」が長すぎる。
途中何読んでるのか疑いました。あれ、教科書か?教科書なのか、これは?
『そんなのいいから誰か殺されてくれ!』と願ったの初めてですよ。
ネタバレありで感想
というかですね。
『写楽殺人事件』って写楽が殺された話だと思ってたんですよ。
犯人は歌麿か?!それとも北斎か?!浮世絵に残されたダイイングメッセージの意味とは?!江戸を舞台に、江戸っ子探偵が大暴れ!
・・・みたいな小説かと思ってたんですよ、なんとなく。
『かー!謎がとけねぇぜ、こんちくしょう!』
『てやんでい!犯人はてめぇだってことはわかってるんだ、こんちくしょう!』
こんなセリフを読みたかったんです。
そしたら「写楽(にまつわる)殺人事件」でしたからね。
あらすじをあえて読まずに本を買うクセがアダとなりました…
で、実際の小説の内容なんですが。
まず言っておきたいのですが、テレビ東京の『美の巨人たち』は好きなんです。
さらに言えば『ガイアの夜明け』も好きですし、『ワールドビジネスサテライト』も好きです。言わずもがな『アド街ック天国』なんて「週3回、朝昼晩で9回やってくれ」と思ってるぐらい好きです。
話を戻すと、芸術の話は好きなんです。知識はないですが、奥深い世界だということは理解してます。
しかし推理小説として読みたくはないんですよ。
この小説読んでいる人はみんな浮世絵の基本知識があるんでしょうか?「浮世絵の知識がない方はご遠慮ください」と注意書きが必要なレベルでなにも頭に入ってきませんでした。
例えば「秋田蘭画」って言葉が出てきます。たいていの人はピンと来ないと思うんです。
で、実際に本編でも『秋田蘭画ってなんですか?』って質問する人が出てきます。その答えが、
ひと言で説明すれば、日本で最初に西洋画の技術を習得して、日本の風景を描いた人たちの絵ってことになるかな
引用:高橋克彦『写楽殺人事件』
って返ってきます。
なるほどなるほど、わかりやすいですね。こういうペースで話が進めば話も入ってくるんですが・・・
この後「秋田蘭画」の説明が原稿用紙5~6枚分ぐらい書かれるんですよ。
文字数数えたら2000字以上。いや、なげぇ、なげぇ。
こういった専門的な説明や時代背景の説明が多く、理解できなくてキツかったです。
こちら1983年に江戸川乱歩賞を受賞したという作品で、評価も高いのは知っていましたが、読むのはかなり苦労しました。
『鬼滅の刃』の完成度がいくら高くても、アニメ好きな人じゃないと「おもしろくない」じゃないですか。
どんなにカワイイ女子高生アイドルが「写真集を出版しました!」って言っても、熟女好きな人なら「おもしろくない」じゃないですか。
「Tictokで大バズり!」って言われても、昭和生まれのおじさんには「おもしろくない」じゃないですか。
それと一緒なんです。
だから小説としての評価は高かったとしても、ミステリ小説としては半分ぐらい「おもしろくなかった」です。
物語が後半になると、「だれが写楽だったか?」といった話は薄れ、実際の殺人事件がメインになってきます。
ここからは少しおもしろいんですが、やはりいかんせん前半で心がバキバキに折られてるので気持ちは入っていけないですよね・・・
でも犯人の使ったトリックはおもしろかったんです。
岩手の海を東京に運んで、東京の風呂場で溺死させる。そして発見されれば水質から「岩手の海で死んだ」ってことになる。
これは単純ながらおもしろいトリックで、このネタを使った叙述トリックとかあれば唸るだろうなぁ、と思ったんですが…
「写楽とは誰だったかを探すミステリ」か「浮世絵をめぐる犯罪ミステリ」か…
どっちか1つにしてくれぇ、こんちくしょう!
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