このページに書いてあること
「館シリーズ」2作目となる推理小説「水車館の殺人」を読んだ読書感想文です。
名作の推理小説シリーズの1つ「館シリーズ」。
前作「十角館の殺人」の衝撃的な展開で錯乱状態に陥った私。今回の作品はどうだったのでしょうか?
2作品目の感想を一言で述べるとしたら・・・
好きです。前作とは少しテイストが異なりますが、ホラー要素のあるラストはすごく好みな終わり方でした。
前作の「十角館の殺人」が面白いと思った方は読むべき小説です。
水車館の殺人 あらすじ
仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。1年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか? 密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは……!?
出典:講談社文庫 作品内容より
ネタバレありで感想
山奥にある大きな水車のある館…仮面をかぶった車椅子の館の主人に、美しい少女。ミステリとしての設定は完璧でした。
ただ面白さでは十角館の殺人を超えられなかったです。
またストーリーの展開が「現在」と「過去」を交互にテンポ良く進んでいき、それゆえに混乱しやすかったです。
『あれっ?今どっちだっけ?過去か?』と脳になかなか負担がかかりました。
しかしさすが名作「館シリーズ」。徐々に事件が明らかになり、現在と過去の話がリンクしてくると…そこからの小説への吸引力は相当な力でした。
前作でもかなりの死者が出ましたが、今回の水車館でもたくさんの人が殺されてしまっています。
合計5名。
そのうちの2人は水車館に仕える家政婦さんです。
今後は相当時給をあげないと人が来ないでしょう。
推理小説が好きな方ならきっとやってしまうであろう「読者の推理」。
前作の十角館の殺人が衝撃的だったため、今回は謎を解いてやる!と意気込んだのは私だけではないと思います。
ということで、読んでいるときに考えた私の推理を少しだけ紹介します。
推理
仮面を被った水車館の主人について。
この時点で私は「きっと彼は主人ではないのではないか?」と推理をしていました。
また、小説の序盤で焼却炉にて殺された「人間」。
そして焼却炉のそばに落ちていた「指」。これも見せかけだと思っていました。
それはなぜか。
なんとなくです。
結果的にそれらは当たっていましたが、館の主人「藤沼紀一」がその友人「正木慎吾」だった、とは思いませんでした。
正確に言えば「入れ変わっているだろう」とは予想できていました。
しかしそれは過去の交通事故の際に入れ替わった、と思っていました。
つまり事故の際に藤沼紀一は亡くなっており、怪我で顔に傷がついてしまったことで識別が難しくなった。それを利用し入れ変わった、と。
その理由は事故が起きたのが12年前だったということ。
執事や家政婦は10年世話になった、と言っていました。そこで私は「館に来た時点で仮面をかぶっていたのは正木慎吾だった」と推理したのです。
つまり執事や家政婦は最初から「藤沼紀一」ではなく「正木慎吾」の世話していた、ということではないかと。
いくら似ているように振る舞っても、仮面ぐらいでは欺くことは難しいと思います。
また肌や髪質なんかも人特有の違いがあります。少しでも異なれば別人だと気づくと思ったからです。
しかし驚くことに、執事は気づかなかった…全然主人のこと見てないですね。そんなことでいいのかと説教したくなりした。
ここの執事の時給は少し減らしてもいいでしょう。
そして一番最後の驚愕のシーン。
あの終わり方はぞくっとしました。あのようなホラーな感じの終わり方は好きです。
「幻視者」と呼ばれた天才画家、藤沼一成の幻の名画。そこに描かれていた「灰色の薬指のない手」。
シンプルに見ても不気味すぎるこの絵。それでいてこの絵を見た正木の叫び。
その光景を想像したらかなりの恐ろしさです。
このちょっと現実味のない終わり方。純粋な推理小説を求めていた方は納得しないかもしれませんが…
これもきっと中村青司の館の力…と考えたら納得できるかも。そう思いませんか?
「水車館の殺人」は電子書籍でも読めます
綾辻行人さんの小説「水車館の殺人」は、紙の書籍のほか、各種電子書籍でも読めます。
AmazonのKindle Unlimited 読み放題を30日間無料体験
他にも「館シリーズ」の感想や、おすすめ小説をまとめた記事もあります。
館シリーズ 読書感想文はこちら
小説カテゴリーの人気記事はこちら
【3選】迷ったらこれ!絶対に騙されるオススメどんでん返し系小説|ネタバレなし
そんな夫はもう一回◯してしまえ。小説「殺した夫が帰ってきました」感想