このページに書いてあること
綾辻行人さんの小説「奇面館の殺人」を読んだ感想と、上巻を考察した結果をまとめました。
数多くの推理小説ファンが絶賛する人気推理小説「館シリーズ」。
今回はその9作品目となる作品「奇面館の殺人」(下)を読みました。
今作は「時計館の殺人」以来となる上下巻の作品です。(新装改正版の文庫本)
上巻を読んで色々疑問に思った点や、それに対する考察をしてみました。
同じく考察された方や、一般人の推理がどんなものか気になる方はまず先にをご覧ください。 こちら
そして今回、上下巻を読み終わりました。
本に対する感想と自分の考察の答え合わせご紹介します。
はたして私の考察は当たっているのか。それとも赤っ恥を紹介してしまうことになるのか。是非最後までご覧ください。
でらの評価 | |
---|---|
読みやすさ | (3.5) |
衝撃度 | (3.0) |
トリック | (2.5) |
おすすめ度 | (3.0) |
奇面館の殺人(下) あらすじ
関係者の大半が仮面を被らされ、素顔が見えない!前代未聞の異様な状況に疑心暗鬼が渦巻く中、名探偵・鹿谷門実が解き明かす「奇面館の秘密」の数々。果たして真相はどこに!?本格ミステリの醍醐味に満ちた、圧倒的迫力の推理&解決編。
出典:講談社文庫 作品内容より
考察の答え合わせ
まずは私の考察した項目を紹介します。
- 影山逸史はそもそも《もう一人の自分》なんて探していない
- 首なし死体は影山逸史本人
- 影山逸史=日向京助
それでは順に見ていきたいと思います。
影山逸史はそもそも《もう一人の自分》なんて探していない
残念。こちらはしっかり探していたようです。
『本質は表層にある。』とも言っています。これはシンプルに矛盾していませんでしょうか?中身が重要ではなく、顔が似ている必要もない。じゃあ何を判断するのか?
前回ここが疑問でしたが、まさか表層=名前だったなんて…名前なんて変えられるし、もっと大切なことは多くありそうな気もしますが。
そして名前が同じ人の中からどうやって《もう一人の自分》を決定づけるか基準は登場しませんでした。
死んでしまったのでわかりませんが…こうなると、なんとなくピンときた人なのか…結局感覚頼りなのでしょうか。
見ている側としては「うーん、もやもや」という感じです。
そして質問の意味も結局はわからず。エピローグで日向京助が質問の意味を考察していましたが、これも死んでしまった本人に聞かないとわからない問題ですね。
ただ考察の解釈はおもしろかったです。さすが小説家の先生ですね。
首なし死体は影山逸史本人
こちらは当たっていました!
非常にややこしいですが、使用人と鹿谷以外だったら誰でも「影山逸史」ですからね。基本誰と予想しても当たっていたことになります。まあ私の予想は「奇面館に招待した影山逸史」だったので、ちゃんと当たったということです。
ただ根本的な理由に関しては間違えていました。首を切った理由は「誰かをわからなくさせる」ことではなく、「仮面自体が必要だったから」ということですね。
それにしてもいくら切迫した状況であれ『じゃあ、首を斬っちゃおう』と考える犯人もなかなかのサイコパスですね。それしかなかったとはいえ、相当な勇気が必要でしょう。
なお、なんとなく怪しいと思っていた鬼丸さんは普通の青年でしたね。疑ってしまってすいませんでした。
影山逸史=日向京助
こちらもややこしいんですが、一応当たっているんですよね。
私の解釈は「奇面館にいた祈りの仮面を被っていた影山逸史=日向京助」というものでした。なので間違っていたのですが…
ただ影山逸史=日向京助というのは間違いなく事実ですからね。
名前に関しても「日」と「京」を合わせて「景」。ここまで考えは至りませんでしたが【名前が関係していた】というのは当たっていましたね。
そして学生アルバイト「瞳子」の苗字に月を入れた理由。これはきっと影山逸史=日向京助の名前の関連性から意識を遠ざけるのが目的だったのでは?と思います。
ネタバレありで感想
うーん、普通におもしろかったですが、なんだかほんのり終わってしまいましたね…。
「十角館の殺人」や「迷路館の殺人」並みの衝撃度には程遠く…『うわわああああああぁぁあ!!』と言いたかった私としては少し残念でした。
なので良く言えば「バランスのいい良質な推理小説」、悪く言えば「館シリーズじゃなくてもいい推理小説」という感じでしょうか。
確かに館の特徴を存分に生かした話で「仮面」というテーマに合った作品でおもしろかったです。「首がないから誰かが入れ替わっているかもしれない?」と考える方向性はワクワクしました。
また仮面を使って現れる地下への階段。いいですね、ドラ〇エでよく見たやつです。「ザッザッザッザッ」という音が聞こえてきそうです。
しかし館シリーズらしい残虐性やトリックは少し弱かったと思います。また自分で行った考察が地味に当たっていたこともある意味ショックです。
素人の考察など度返しする、全く別の方向から意表を突かれるほどの驚きが欲しかったです。
最後のエピローグで鹿谷門実が言っていた彼の考え方。非常に彼らしくて好きでしたね。
「こうゆうのは結局、”解釈”の問題だと考えているので」
引用:綾辻行人著「奇面館の殺人(下)」
それを踏まえたうえで、彼自身は色々なものに意味があると考えるタイプでしょう。何より中村青司の建てた館にあそこまで執着している人ですからね。
鹿谷さんはいつも他人との距離の詰め方が上手く、誰とでもちょうどよい距離感で接しますが、それは物腰の柔らかさの他に「この人はこう解釈しているから」と考えているのもあるかもしれません。
「奇面館の殺人」は電子書籍でも読めます
綾辻行人さんの小説「奇面館の殺人」は、紙の書籍のほか、各種電子書籍でも読めます。
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他にも「館シリーズ」の感想や、おすすめ小説をまとめた記事もあります。
館シリーズ 読書感想文はこちら
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